正論

安倍積極外交の方向性継承を 防衛大学校教授・神谷万丈

2017年2月、米ホワイトハウスで、首脳会談を前に笑顔を見せる安倍晋三首相(左)とトランプ大統領=米ワシントン(松本健吾撮影)
2017年2月、米ホワイトハウスで、首脳会談を前に笑顔を見せる安倍晋三首相(左)とトランプ大統領=米ワシントン(松本健吾撮影)

 ≪日本の存在感を高めた≫

 第2次安倍晋三政権には目立った成果が乏しかったと批判する向きがあるが、少なくとも外交については妥当ではない。安倍外交は世界における日本の存在感をかつてなく高めたからだ。日本にとって居心地がよく、国際社会全体にとってもよりよい未来をもたらす国際秩序のあり方とはいかなるものか。そうした秩序像を提示するとともに、実現のための国際協調を推進し、同時に日本がそうした協調の中で大きな役割を自ら果たせる国となれるよう条件整備に取り組んだ。安倍首相はそのような指導者として記憶されるだろう。

 安倍外交が世界で高く評価されたのは、何よりも首相が日本を米国を中心とする「ルールを基盤とするリベラル国際秩序」の維持勢力と明確に位置づけ、力による現状変更の試みに反対する姿勢を貫いてきたからだ。近年この秩序は中露という2つの権威主義国の挑戦を受け揺らいでいる。中国による尖閣諸島周辺での挑発行為、南シナ海における一方的な領有権主張や人工島の造成、ロシアのクリミアやウクライナにおける行動などは、いずれも国際的なルールではなく力に頼って現状変更を目論(もくろ)む行動に他ならない。