正論

首相は米大統領との信頼関係を 国連安保理専門家パネル元委員・古川勝久

日米電話首脳会談後、取材に応じる菅義偉首相=20日午後、首相公邸(萩原悠久人撮影)
日米電話首脳会談後、取材に応じる菅義偉首相=20日午後、首相公邸(萩原悠久人撮影)

 ≪幻の米朝秘密会談≫

 2018年2月7日、ペンス米副大統領は首相官邸を訪れ、安倍晋三首相(当時)と会談した。その後、共同記者会見で両者は、「北朝鮮が非核化に向けた真摯(しんし)な意思と具体的な行動を示さない限り、意味のある対話は期待できない」との見解を発表した。ペンス氏は「北朝鮮に最も厳しい制裁をかけ続ける」と明言した後、9日に韓国を訪問し、平昌五輪開会式に参加した。そこには韓国の文在寅大統領の招待で、北朝鮮から金正恩朝鮮労働党委員長の妹、金与正氏らも出席していた。

 当時知られていなかったことだが、実はペンス氏はトランプ大統領の指示により北朝鮮側と秘密裏に会談を予定していた。だが対北朝鮮強硬発言が問題視され秘密会談は開始予定時刻の約2時間前に中止となったという。米ワシントン・ポスト紙のボブ・ウッドワード編集主幹が新著『RAGE』で紹介したエピソードである。結果的にペンス氏と安倍氏は共同記者会見を通じトランプ氏の意向を事実上、押し切ったといえる。トランプ氏の予測困難な動きを、安倍首相と日米両政府の高官が協力しあって制御した形だ。