正論

読書の秋に本を遠ざけない方法 社会学者・関西大学東京センター長・竹内洋

ジュンク堂書店福岡店の様子=福岡市中央区(中村雅和撮影)
ジュンク堂書店福岡店の様子=福岡市中央区(中村雅和撮影)

 読書の秋となった。コロナ禍で読書人口がいくらか戻ってきたといわれるが、読書の長期低落傾向を反転させるほどにはみえない。近年の読書調査によれば、社会人の半数ほどが全く本を読まない。かつては読書人といえば大学生だったが、近年は大学生の読書量も社会人の平均に近くなってしまっている。1カ月に読む冊数も毎年減っている。

 ≪壁となる3つの「規範」≫

 たしかにスマホなどの普及は多くの人々から読書を遠ざけることになった。読書時間や書籍代の経済的余裕がなくなるからである。しかし、それだけではない。読書以外の誘惑が多い中で、読書のすすめのほうは完全主義ともいえる理想の読書の規範をこっそり忍びこませるからではないだろうか。