正論

ニヒリズムに対峙する魂の基軸 文芸批評家・新保祐司

 新型コロナウイルス禍の下、これまで読む機会を逸していた古典や大作に取り組む人が増えていることは将来に希望を抱かせる。それは、日本人を「深き民」へと導くからである。

 ≪『大菩薩峠』を再読して≫

 以前、「朝晴れエッセー」に、プルーストの長篇小説『失われた時を求めて』の話が出ていたが、私は中里介山の『大菩薩峠』を読んだ。実は、5、6年前に一度通読したのだが、改めてじっくり取り組んだのである。