正論

コロナ禍と脆弱な日本の企業法制 早稲田大学名誉教授・上村達男

JR品川駅周辺で、マスク姿で職場に向かう人たち(宮崎瑞穂撮影)
JR品川駅周辺で、マスク姿で職場に向かう人たち(宮崎瑞穂撮影)

 ≪危機時の対応力を軽視≫

 新型コロナウイルス禍という危機にあたり、企業法制の観点から株式会社の対応能力は日本と比べ、欧州が段違いに高いことを思い知らされる。

 欧州では、厳格な配当規制を伴う法定資本・法定準備金制度が維持され、法が企業に内部留保を強制してきた。日本は、そうした制度を明治以来一貫して有しながら過剰規制として放棄した。

 株式の払込剰余金が資本準備金とされることで、バブル期には企業に配当できない資金が自然に蓄積され、バブル崩壊時や危機時への備えとなる。利益の一定限度を積み立てることを強制する利益準備金も同様である。