正論

時代の基調は「重厚」へ回帰する 文芸批評家・新保祐司

新保祐司氏(瀧誠四郎撮影)
新保祐司氏(瀧誠四郎撮影)

 長引く新型コロナウイルス禍が日本の社会や日本人の人生観に与える影響は、静かに進行している。時代思潮の基調や人々の宗教観に徐々に変化が起きてきていて、それは文化の様相にも転調をもたらすであろう。この100年に一度と言われる苦難によって、時代は「重厚」へと回帰するのではないかと私は予測している。

 ≪「楽聖」生誕250年≫

 「重厚長大」から「軽薄短小」へ産業構造が変わっていったのは高度成長の終焉(しゅうえん)期の頃であるが、これは、時代の空気や人間の心が重厚なものから軽いものへと傾斜していくのを伴っていたと思う。