正論

新型コロナ禍で欠く臨機応変さ 文化人類学者、静岡大学教授・楊海英

楊海英氏(寺河内美奈撮影)
楊海英氏(寺河内美奈撮影)

 令和2年とはどんな年だったのだろう。年の瀬も近いので少し早めに回顧してみたい。まず、何よりも中国・武漢発新型肺炎の猖獗(しょうけつ)である。政府の対応が後手に回り、未(いま)だ有効策を打ち出せない状況をどう分析すればいいのか。背後の深い原因はどこにあるのか。

 ≪現実無視のルール≫

 2月中旬、私は米国から帰る飛行機に乗っていた。成田空港が近づき機内アナウンスが気になった。アフリカの一部地域でエボラ出血熱がはやっているので空港の検疫に協力を求める内容だった。乗務員に近い席に座っていたので思わず疑問を呈してみた。