正論

バイデン新政権への布石を急げ 明星大学教授・細川昌彦

 米国はバイデン次期政権に向けて動き出した。これを見据えた欧州の動きは早い。トランプ政権下で亀裂の入った米欧関係を修復すべく早速、米欧協調のためのボールを投げている。今月2日にEU(欧州連合)が発表した「新大西洋アジェンダ(議題)」がそれで技術管理、人権問題などを挙げている。政権移行期の米国に対して次期政権とのアジェンダ設定の布石を打つ絶妙のタイミングだ。

 ≪米国の関心向ける仕掛けを≫

 過去の日本も同様の動きをしてきた。かつて私自身が関わった経験でも、クリントン政権下での激しい日本バッシングから脱すべく、ブッシュ新政権との新たな経済対話の枠組みを平沼赳夫経済産業相(当時)が提唱したのも政権移行期だった。そして政権発足後、ブッシュ、小泉両首脳による最初の首脳会談で経済対話のキックオフに結実した。