正論

年頭にあたり 「恥ずかしくない国」への覚悟を 杏林大学名誉教授・田久保忠衛

  揉(も)めに揉めた大統領選挙の揚げ句、米国にバイデン次期政権が誕生する。諸政策の発表はこれからだし、主要閣僚人事などは指名だけで上院の承認も済んでいない段階で論評するのは時期尚早であるとは分かっている。が、この国の一挙手一投足が日本に直接、間接の影響力を及ぼすことを考えると、米政権の今後に一抹の不安を感じないわけにはいかない。

 ≪米国次期政権への不安≫

 一つは、国論の二分だ。7400万票という巨大な票数がトランプ大統領に投じられたという事実は、新政権がかなりの精力と時間を国内の「統一」「協力」に充当しなければならない難局に直面していることを物語っている。