正論

年頭にあたり 「新しい中世」の到来に備えよ 文芸批評家・新保祐司

新保祐司氏
新保祐司氏

 ≪長い歴史の感覚で捉える≫

 新型コロナウイルス禍が長引く中で、令和3年を迎えた。

 日本と世界の混迷は、明らかにこれまでの自然災害や金融危機などとは、規模も、そして何よりも質が違う事態である。私には戦後70余年や大恐慌以来90余年というような1世紀くらいのタイム・スパンでは収まらない、もっと長い歴史の感覚で捉えなければならない文明の転換が起きつつあるように感じられる。時代は古代から中世へそして中世から近代へと文明が裂け目をもって移ったと同じくらいの展開になるのではないか。