正論

年頭にあたり 現代に「戯」と「真面目」の均衡を 社会学者、関西大学東京センター長・竹内洋

慶応義塾大学三田キャンパス内にある福沢諭吉の胸像
慶応義塾大学三田キャンパス内にある福沢諭吉の胸像

 近代日本を代表する思想家といえば、福沢諭吉を外すわけにはいかない。福沢がいなかったら近代日本自体がなかったという人もいる。とはいっても、福沢の著作は難解ではなく、平明で人情の機微にふれ、かつユーモアもある。だから、いまでも福沢ファンともいうべき人々が少なくない。私もその一人だが、晩年の作品『福翁百話』がとくに好きである。

 ≪含蓄に富む『福翁百話』≫

 『福翁百話』は明治29年2月から翌年まで『時事新報』に連載された。連載完結後単行本化され、ベストセラーになった。今も文庫本などで手に入る。短いエッセーを収録したものだが、福沢の人生論というべきもので含蓄に富んでいる。