正論

年頭にあたり 皇室の「藩屏」再建に着手せよ 東京大学名誉教授・小堀桂一郎

東京大学の小堀桂一郎名誉教授
東京大学の小堀桂一郎名誉教授

 アメリカでは大統領選挙に際し選挙管理に不正が生じたとの俄(にわ)かには信じ難い理由で、その結果に納得出来ないと言ひ張る人々と、ともかくも出た結果を承認しようと言ふ人々との間で輿論(よろん)が二分されたままで年を越す事になつた。

 ≪我が脚下を照顧せよ≫

 斯様(かよう)な国論の分裂は、国家独立宣言以来高らかにデモクラシーを謳歌(おうか)し国是として来た国の面目を汚す深刻な事態である。然(そ)うなると二百五十年の国の歴史全般に対してさへ、それは本当に光栄の履歴だつたのか、実際は自由の仮面の直(す)ぐ下に、強者による弱者の抑圧、陰謀と暴力による支配といふ醜悪な現実を隠して来た欺瞞(ぎまん)の歴史ではなかつたのか、との真摯(しんし)な反省の聲(こえ)が上る迄(まで)になつた。