バイデン政権で最も危ういのは北朝鮮政策である。今月19日、上院の公聴会で、北の核凍結などと引き換えに徐々に制裁を解除する「段階的」アプローチ(北が求めてきたのが正にそれである)を考えるかと聞かれたブリンケン新国務長官は、明確に否定せず、ただ政策全般を見直すとのみ答えた。
≪「最悪のディール」にするな≫
また、アジア政策を統括する「インド太平洋調整官」に就いたキャンベル元国務次官補は、北朝鮮が挑発的な行動に出る前に素早く交渉に入らねばならないと強調している。この「見直し」や「素早い交渉」が、オバマ政権時代のイラン核合意(2015年)の線に沿って行われるなら、日本にとって破滅的な展開となろう。
ところがバイデン政権の外交チームは、当時副大統領のバイデン氏を筆頭に、国務長官だったケリー氏、国務副長官だったブリンケン氏、交渉代表を務めたシャーマン氏(国務副長官に予定されている)など、イラン核合意を「オバマ外交最大の成果」と位置付ける人々が中核の布陣となっている。