正論

アメリカは「一枚岩」ではない 評論家・江崎道朗

 ≪共和党と民主党は違う≫

 今回の米国の大統領選挙に対する日本人の関心はかつてないほど高かった。

 いくら同盟国とはいえ、米国の大統領選挙や政権交代に一喜一憂すべきではないとの意見も聞く。だが世界最大の軍事・経済大国の指導者が代わると国際政治も日本も多大な影響を受ける。米国の行方に強い関心を向けるのは当然のことだ。

 その一方で米国の政治の仕組みについて日本側の理解は必ずしも深まっていないようだ。米国は基本的に二大政党制で、共和党と民主党が争ってきた。だが、この2つの政党の違いを明確に理解している人がどれほどいるだろうか。

 共和党はどちらかと言うと、減税と規制緩和による経済活性化や軍事を重視する保守系だ。支持層は、中小企業の経営者や熱心なキリスト教徒たちだ。民主党はどちらかと言うと、格差是正や環境といったテーマを重視しており、リベラル系だ。支持層は都市部のインテリ層、黒人やヒスパニックなどのマイノリティー(少数派)、そして労働組合だ。この基本政策と支持母体の違いが対外政策にも影響する。