正論

米中大国外交の犠牲にならぬため 杏林大学名誉教授・田久保忠衛

 かつて引用した話だが、再び紹介する。自著『近衛時代』に「日米関係は日中関係」だ、と書いたのは戦前の同盟通信社の前身である新聞聯合社上海支局長当時、蒋介石が監禁された西安事件の世界的大スクープを放った故松本重治氏だった。

 ≪「日米関係は日中関係」≫

 彼の恩師は米国の歴史学の泰斗チャールズ・ビアード博士だし、取材源となった中国人の人脈は網のように張り巡らされていた。その松本氏はこの句を60年間考え続けてきたと書いている。