正論

「新・日英同盟」で日本人の自立を 明治大学名誉教授・入江隆則

 昨年末に岡部伸氏の『新・日英同盟 100年後の武士道と騎士道』(白秋社)を通読した。近年これほど深い共鳴を覚えながら読んだ書物はなかった。理由はいろいろあるが、第一には、われわれが戦後約70年にわたって維持してきた日米安保条約とその体制とを、いろいろな意味で考え直す時期が今日きていると考えられるからである。

 ≪米国に「おんぶに抱っこ」≫

 日米安保条約が、日本の安全保障に大きな役割を果たしてきたのはいうまでもない。しかし米国が日本を護(まも)ることのみを規定し、米国の安全保障に対する日本の義務に触れていない点で「片務的」であり、日本国憲法の制約もあって日本の「安保ただ乗り」を許すものだという批判は、日米両国民の間で常に議論されてきた。