正論

ポストコロナ期の疲憊(ひはい)に備えよ 拓殖大学顧問・渡辺利夫

新型コロナウイルス感染拡大の中、新宿駅に向かうマスク姿の通勤客=東京都新宿区
新型コロナウイルス感染拡大の中、新宿駅に向かうマスク姿の通勤客=東京都新宿区

 五反田と蒲田を結ぶ池上線という私鉄沿線の街に住んでいる。穏やかな坂道の地形で、小津安二郎の「秋刀魚の味」のロケに使われた駅のホームが往時とさして変わらない姿でたたずんでいる。

 ≪ぎょっとした駅ポスター≫

 そのホームの壁に張られているポスターをみて少々ぎょっとさせられた。男が右手の拳(こぶし)で何かを叩(たた)きつけるイメージである。男の黒い背広の袖のうえに白抜きの横書きで「たった一発で人生はこわれる。」と書かれてある。

 鉄道事業者共同で作成されたこのポスターについては本コラムでも触れたことがある。平時であれば心の多少のざわめきで終わっていた人間関係のストレスがコロナ禍で異様に増幅し、鉄道従業員と客、客同士のトラブルが放置できなくなったのであろう。