正論

中韓の暴挙許さぬ海洋外交力を 東海大学教授・山田吉彦

尖閣諸島=2011年(鈴木健児撮影)
尖閣諸島=2011年(鈴木健児撮影)

 戦後社会の中で培われた柔和な国民性を持つ日本人は、目先の平穏に満足し、迫(せま)りくる危機から目を背け将来の姿を描くことができないでいる。日本の文化と伝統を忘れた繁栄は、アジアを牽引(けんいん)する力を失い、偉大なる中華民族の復興を目指す中国の独善的な施策に為(な)す術(すべ)を持たず翻弄されている。

 ≪迎合を協調と誤解する日本≫

 海洋国家を自負しながら日本は海洋に関わる外交力が脆弱(ぜいじゃく)である。わが国を取り巻く海洋問題は外交関係において迎合を協調と誤解したため、近隣国の攻勢は国民生活を脅かす事態に至っている。