正論

バイデン政権が向かう3つの戦争 東京外国語大学教授・篠田英朗

バイデン米大統領(UPI=共同)
バイデン米大統領(UPI=共同)

 バイデン米大統領の就任から1カ月余りが過ぎた。就任直後こそ地球温暖化対策のためのパリ協定への復帰やWHO(世界保健機関)からの脱退の撤回など、トランプ政権時代の政策の転換を矢継ぎ早に行った。しかしその後は比較的地味な日々が続いている。

 欧州同盟諸国向けのスピーチなどで、「アメリカは戻った(America is back)」という言葉が繰り返されている。とにかく多国間主義への回帰を強調したいようだ。しかし具体的内容を伴った新規の政策が打ち出されているとはいえない。

≪「アメリカが戻った」ら何を≫

 もちろん就任1カ月の時点での評価は、早すぎる。だがそれにしても、高齢のため1期だけでの引退が既定路線とされている大統領である。このまま総花的な心地よい言葉を羅列するだけで、単に「トランプではない大統領」として終わってしまう可能性もある。