正論

災害時医療「DMAT」法制化を 日本医科大学教授・松本尚

日本医科大学教授・松本尚
日本医科大学教授・松本尚

 ≪東日本大震災に383チーム≫

 10年前に発生した東日本大震災では、全国から383のDMAT(災害医療派遣チーム)が被災地の岩手・宮城・福島・茨城に参集し医療を提供した。平成13年にDMATが構想されて以来、わが国の災害時の系統的な医療支援体制が確立したのはまさにこのときであっただろう。

 災害時医療にかかわる医師の間では、この20年間の厚生労働省の政策で最も成果を挙げたのがDMATの設立だといわれている。DMATは「大規模災害や多傷病者が発生した事故などの現場で、急性期から活動できる機動性を持った専門的な訓練を受けた医療チーム」だ。26年前の阪神・淡路大震災の検証で「発災直後から平時の医療が提供されていれば約500名の命が救われた(避けられた災害死)」と報告され、5~6人の医師・看護師・事務調整員からなる医療チームを全国に作り派遣運用する構想が生まれたのである。