正論

誰を称賛し誰に名誉を与えるか 東洋学園大学教授・櫻田淳

東洋学園大学教授・櫻田淳氏
東洋学園大学教授・櫻田淳氏

 先月、放映が始まったNHK大河ドラマ『青天を衝(つ)け』が題材にしているのは、青淵(せいえん)翁・渋沢栄一の生涯である。

 ≪「経済」と「公益」にも尽力≫

 「日本資本主義の父」と称される渋沢は、さまざまな角度から語られるかもしれないが、筆者が何よりも注目するのは、渋沢が手にした「名誉」の意味である。戦前、公侯伯子男の5階級から成った華族制度の下、三井、三菱、住友といった財閥の当主がせいぜい、最下の男爵に列せられるにとどまる一方、渋沢だけは財界からは異例の子爵の地位が授けられた。渋沢が「経済」だけでなく「公益」に尽力した突出した実績が、民間人として一段上の「名誉」に反映されていた。