正論

戦没者追悼式に「海ゆかば」を 文芸批評家・新保祐司

新保祐司氏
新保祐司氏

 今回の新型コロナウイルス禍は、長引くにつれて深甚な影響を多方面に与えることが予想される。しかし、これによって変化していく日本人の精神が、コロナ禍の艱難(かんなん)に鍛えられて、歴史精神の根底に基づいた重厚なものに深まっていくならば、長く覆っていた「戦後レジーム」という虚妄を突き破ることができるに違いない。「戦後レジーム」は、歴史精神の根底に触れずに、表層的なところで世界の動向と日本国家の諸課題に対処してきたのである。

 ≪「戦後レジーム」から解放≫

 その虚妄を払拭する試みとして私は、毎年8月15日に執り行われる全国戦没者追悼式で、式が始まる前に弦楽合奏で演奏される音楽を「海ゆかば」にすることを願っている。何故(なぜ)なら、全国戦没者追悼式で、本来ならば流されるべき「海ゆかば」が避けられてきたということ、それこそ「戦後レジーム」そのものだからだ。