正論

「採択の特例」は絵に描いた餅 教育研究者・藤岡信勝

教育研究者 藤岡信勝
教育研究者 藤岡信勝

 ≪「過度な不利益」を回避≫

 平成28年度から導入された、教科書検定における「一発不合格」制度は、一切の交渉の余地なく、年度内に合格する道が絶たれる過酷な制度である。翌年度の採択レースに参入できなければ、自動的に採択数はゼロとなる。教科書会社にとっては死活問題である。

 文部科学省もその過酷さをよく心得ており、制度導入を検討した教科書検定審議会の前年7月23日の「報告」には、「教科書発行者の過度な不利益を回避するため」として、「翌年度に再申請を行い合格した図書については、都道府県教育委員会が調査を行い、市町村教育委員会等が必要に応じて採択替えを行うことができるようにすることが適当である」と書かれていた。