正論

台湾有事への究極の心構えとは 元駐米大使・加藤良三

 コロナ禍の今後の帰趨(きすう)いかんにかかわらず、日本周辺の安全保障環境は従来以上に緊張をはらむものとなっている。

 朝鮮半島情勢、なかんずく北の核弾頭と中・長距離ミサイル開発の動向は変わらないように見える。近年は中国による台湾統合の動きが強い懸念を呼んでいる。

≪最重視される「事前協議」≫

 台湾周辺や朝鮮半島で一朝有事の事態が生じた場合に日本が武力行使しうる法的範囲は…これまで営々と時間をかけて取り組んだ結果、安倍政権時代に実質的進展があったとはいえ…グローバルな国際相場(国連基準)でも依然特異で強い制約下に置かれている。

 結局、台湾、朝鮮半島有事の事態に「日本の国益」が損なわれないようにするための軍事的行動の主役はアメリカにならざるを得まい。