奈良・天理の「村八分」騒動 自治会費納入も無視扱い 

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天理市内の自治会に対する奈良県弁護士会の勧告書

天理市内の自治会に対する奈良県弁護士会の勧告書

 奈良県天理市の自治会で起きた「村八分」騒動が波紋を呼んでいる。自治会費を長年納入していた住民男性に対し、回覧板や広報誌を配布しないなどの人権侵害があったとして、県弁護士会が8月、自治会に是正を勧告した。しかし、その後も改善されないとして、男性は自治会を相手取り慰謝料を求めて提訴。一方、自治会側は「差別はしていない」と反論し、真っ向から争う事態となっている。古くからある自治会と新規住民の間で入会や規則などをめぐるトラブルはよくみられるが、ここまで激しい「村八分」騒動に発展するのは異例だ。問題の背景を探った。(桑島浩任)

26年前の移住直後から

 県弁護士会の勧告書や訴状などによると、男性は平成4年、同県桜井市から天理市に夫婦で移住。「農業や自給自足に興味があった」といい、土地を購入し、一戸建てのマイホームを建てた。その直後、自治会費に相当する「協議費」の納入を自治会員から求められた。