
■第95回 戦争と報道(1)
昭和6年10月1日、大阪朝日新聞は社説に書いた。
「(満州に)一新独立国を建設することは、更に国際戦争の惨禍を免れるゆえんであつて、極東平和の基礎を一層強固にするものでなければならぬ。吾人はこの意味において、満州に独立国の生れ出ることについては歓迎こそすれ反対すべき理由はないと信ずるものである」
満州事変の勃発から半月足らず、溥儀が担ぎ出されて満州国建国を宣言する5カ月以上も前から、大阪朝日は「独立」を歓迎していたのだ。事実上、関東軍の暴走を後押ししていたと言っていい。