昭和天皇の87年

首相官邸に乱入した海軍将校 「問答無用、撃て!」

第101回 五・一五事件

 昭和7年5月15日、日曜日の首相官邸は訪問客の予定もなく、ふだんより警備が手薄だった。

 陽の傾いた夕刻、午後5時25分、1台のタクシーが猛スピードで表門を走り抜け、官邸表玄関に横付けした。左右のドアが勢いよく開き、中から海軍の青年将校が1人、2人…5人。彼らは官邸内に入り込むと、警備の巡査に拳銃を突きつけた。

 「首相の居場所を言え!」

 巡査が断るや、将校の1人が発砲。裏門から進入した4人の士官候補生らとともに、首相の姿を求めて官邸内を探し回った。

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