昭和天皇の87年

「何と神々しい…」 天皇を仰ぎ見た学生は、のちに首相となった

画=千葉真
画=千葉真

第111回 苦楽を共に

 岡田啓介内閣の発足から3カ月後、昭和9年10月1日、昭和天皇は、皇居内につくられた水田で稲刈りをしていた。《まず農林一号、続いて信州早生の稲を刈り取られ、終わって愛国・撰一・小針糯(いずれも稲の品種)等の成熟状況を御覧になる》と、昭和天皇実録に記されている(21巻143頁)。

 昭和天皇が自ら稲作をするようになったのは、即位して間もない昭和2年の春からだ。赤坂離宮に住んでいたころは2畝20歩(約265平方メートル)を耕し、皇居に移ると面積を2倍に広げ、全国から取り寄せたさまざまな品種を毎年育てた。

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