昭和天皇の87年

「日本人が大勢殺されている」 残虐!特派員が見た通州事件

画=井田智康
画=井田智康

第134回 虐殺

 盧溝橋事件を導火線とする日中戦争をめぐり、日本の加害行為がマスコミなどに取り上げられることはあっても、その逆はほとんどない。しかし、1937(昭和12)年7月29日に通州(現北京市通州区)で起きた虐殺事件は、泥沼と化した日中戦争の実相を理解する上でも、忘れてはならないだろう。

 その日、同盟通信特派員の安藤利男は通州の日本人旅館「近水楼」にいた。前日からラジオでは、「さかんに支那軍の全面戦勝を放送していた」という。現実の戦況は、中国軍が仕掛けては日本軍に反撃され、撤退することを繰り返していたのだが、戦意を高めるために虚報を流していたのである。

【連載】昭和天皇の87年