昭和天皇の87年

在留邦人危うし 中国軍精鋭が日本人街に襲いかかった 

画=井田智康
画=井田智康

第136回 上海事変

 「今こそ対日戦争に踏み切るべきだ」

 蒋介石が抱えるドイツ軍事顧問団団長、ファルケンハウゼンがこう進言したのは、盧溝橋事件が起きる1年以上も前、1936(昭和11)年の春頃といわれる。

 同じ頃、ナチス・ドイツは日本と防共協定を結んだが、ドイツ国防軍は日露戦争でロシアと組んで以来、伝統的に日本を仮想敵国とみなしていた。第一次世界大戦で山東省の租借地を奪われてからはその傾向が強く、国民党政府に顧問団を送って軍事力の強化に努めていたのだ。

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