昭和天皇の87年

領土拡張の野望 ヒトラーの演説に、欧州は震えた

第149回 同盟問題(1)

 1933(昭和8)年以降、膨大な公共投資と軍備拡張で国力を充実させたナチス・ドイツが、いよいよ近隣諸国への侵攻政策を本格化するのは1938(昭和13)年、日本が日中戦争の泥沼にはまっていた頃である。

 同年9月12日のナチス全国党大会最終日、アドルフ・ヒトラーは演説した。

 「全知全能の神は、ベルサイユ条約によって外国の隷属下におくために、ドイツ人を創り出したのではない」

 ヒトラーの当面の目標は、ベルサイユ体制を打破し、第1次世界大戦で失った領土を取り戻すことだ。同年3月にオーストリアを併合すると、9月の全国党大会でチェコスロバキアへの侵攻を示唆した。

 「私は、チェコスロバキア内でドイツ人同胞が圧迫されているのを、いつまでも黙って見過ごしているつもりはない」

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