偏西風

高齢被害者、自責の果て 特殊詐欺は命までも奪う

 今年の芸能界でもっともショッキングだったのは吉本芸人らの闇営業問題だ。関与した芸人の多くは劇場などで復帰したが、テレビで見かけることがほとんどなくなった人もいる。お笑い好きの関西人としては悲しい出来事だった。一連の騒動は芸能人と事務所の契約をめぐる慣習や組織の危機管理のあり方を浮き彫りにした。だが、問題の根幹は特殊詐欺グループから金銭を得ていたこと。特殊詐欺は高齢者を巧みにだまし、老後の蓄えや生活費をむしり取る。失われるのは財産だけではない。被害にあったことで自分を責め、死を選んでしまう人もいる。自尊心まで奪う悪辣(あくらつ)な犯罪なのだ。

◆1日に8千万円被害

 警察庁によると、全国の特殊詐欺の被害額は平成26年の約565億円をピークに、30年の約382億円まで7年連続で300億円を超えている。