昭和天皇の87年

天皇が放った「和平の第一着手」 重臣たちは空論をかざした

画=井田智康
画=井田智康

第191回 天機奉伺(1)

 大戦最後の年、昭和20年の新春を、昭和天皇は、ある決意を秘めて迎えたようだ。

 1月6日《内大臣木戸幸一をお召しになる。その際、比島戦況(フィリピンの戦い)の結果如何により重臣等から意向を聴取することの要否につき御下問になる》(昭和天皇実録33巻4頁)

 当時、フィリピンでは一撃講和を狙った捷一号作戦の失敗により、山下奉文指揮の第14方面軍がマッカーサー率いる米上陸軍に苦戦を強いられていた。政府も軍部も依然として「戦争完遂あるのみ」だが、昭和天皇は、終戦に向けた地ならしが必要だと考えたのだろう。重臣からの意見聴取は「和平の第一着手」だったと、侍従長の藤田尚徳が戦後に書き残している。