昭和天皇の87年

特攻隊は無駄だったのか- 遺書につづられた涙の祖国愛

画=井田智康
画=井田智康

第195回 カミカゼ

 先の大戦の終盤、米軍を最も悩ましたのは神風特別攻撃隊と陸軍特別攻撃隊だろう。カミカゼの名は、今も特別な響きをもって、世界中に知れ渡っている。

 大戦初期、日本軍機は米軍機に対し圧倒的に優勢だった。しかしガダルカナルの消耗戦でベテラン搭乗員の大半が戦死し、急速に劣勢となる。昭和19年6月のマリアナ沖海戦では、米艦隊を長距離攻撃した日本軍機が次々に撃墜され、米軍から「マリアナの七面鳥撃ち」と揶揄(やゆ)されたほどだった。

 この状況を変えたのが、特攻隊だ。19年10月のレイテ沖海戦以降、終戦までに出撃、散華した特攻隊は約2600機。うち420機以上が米軍艦船に命中もしくは至近命中し、大損害を与えた(※1)。