「誰か私を止めて」37歳母が幼い娘を2度も落とすまで

 大阪市平野区の市営住宅で昨年1月、生後7カ月の女児が高層階の踊り場から落ちて亡くなった。まだハイハイもできない幼子の不可解な死。捜査した大阪府警は、37歳の母親を殺人容疑で逮捕した。法廷で母親は、1度では致命傷を負わせることができず、2度にわたり娘を投げ落としたと説明した上で「《誰か止めて》と思っていた。けど自分では止められなかった」と打ち明けた。いったい何があったのか。浮かび上がってきたのは、母親を取り巻く過酷な家庭環境だった。

不審な落ち着き

 今年1月に大阪地裁で開かれた裁判員裁判。関係者の供述調書などが読み上げられ、当時の状況と事件に至る経緯が再現された。

 「ベランダから落ちたんです」「花壇じゃなくて地面に落ちました」

 昨年1月19日朝、119番を受けて11階建て市営住宅に急行した救急隊員は、通報者の母親が、頭から血を流す女児を前にしても取り乱さず、落ち着いて話す様子を不審に感じていた。