フィギュア1千体に「ひなビタ♪」も 倉吉、クールに変身

円形劇場に展示されている「ねんどろいど」。2・5頭身が特徴だ=令和3年1月
円形劇場に展示されている「ねんどろいど」。2・5頭身が特徴だ=令和3年1月

 昭和30年に建てられた元円形校舎の教室に、2・5頭身の手のひらサイズフィギュアが1千体。白壁土蔵群のレトロな街並みを観光の柱とする鳥取県倉吉市が“クール”に生まれ変わろうとしている。行政が、対極的な素材の融合で誘客を図る「レトロ&クールツーリズム」を打ち出せば、商工会議所など民間は「フィギュアのまち」づくりを宣言して呼応。人口5万人足らずの小さな市は「ポップカルチャー」で活気づいている。

国際都市と肩を並べる

 「コンテンツの力を思い知りました。なにせ1カ月間に2万5千人が全国から倉吉に来られたのですから」

 同市商工観光課の稲毛一智さんが話すのは、平成27年に開催した「フィギュア博覧会in倉吉」。「ねんどろいど」と呼ばれるフィギュア500体を展示した。ねんどろいどはアニメやゲームのキャラクターのデフォルメフィギュアで、キャラクターのファンらがグッズのひとつとして収集したり飾ったりする。

 それから6年、2倍まで増えたフィギュアを一堂に集めたのが今回の「ねんどろいどが1000体やってきた」だ。上海、ロサンゼルス、台北(台湾)、東京と開催し、最後の開催地が倉吉。「国際都市の中にあって倉吉だけが異質。集客力のある都会ではなく地方都市で勢ぞろいなんて本来ありえない」。ファンも驚く展示が実現したのは、ねんどろいどを製造、販売する会社「グッドスマイルカンパニー」(本社・東京、愛称グッスマ)が前年の26年に誘致企業として同市に工場進出したからだ。