山梨県議の発言に知事「名誉毀損」 判例は個人の賠償否定だが…

記者団のカメラの前で、県議を名誉毀損で提訴することも辞さないと表明する山梨県の長崎幸太郎知事=2月16日、県庁(渡辺浩撮影)
記者団のカメラの前で、県議を名誉毀損で提訴することも辞さないと表明する山梨県の長崎幸太郎知事=2月16日、県庁(渡辺浩撮影)

 山梨県の長崎幸太郎知事が同じ自民党籍の県議の議会発言を名誉毀損(きそん)だとして、提訴も辞さない構えを見せている。地方議会での発言をめぐる判例は議員個人は損害賠償責任を負わないとしており、提訴するとすれば、個人としての知事が県のトップとしての自らに賠償を求める異例の展開も想定される。一方、誹謗(ひぼう)中傷なら刑事責任が問われる可能性もある。(渡辺浩)

「委託費が還流しているのでは」

 発言は2月1日、県が富士急行に貸している山中湖村の県有地の賃料が不当に安いとする住民訴訟をめぐる県議会の調査検証特別委員会の審議で行われた。

 県は訴訟代理人の足立格(いたる)弁護士に県有地の貸付を検証する業務を6600万円で委託。県議会からは高額過ぎるとの指摘が出たが、県は、3人の弁護士に1時間当たり3万~5万円、計1267時間分払う計算で算出し、弁護士報酬としては妥当だとしている。

 これに対し、向山憲稔(のりとし)県議は「多額の金(業務委託費)が知事サイドに還流しているのではないか」との「県民の声」を紹介し、県当局を追及した。

 足立氏は15日の特別委の参考人招致で「委員会で私に関して看過できない発言があった」と述べ、記者団に「訴訟も含めて検討する」と語った。長崎知事も16日に記者団を集め、「撤回や謝罪がない場合は提訴を検討する」と反発した。

 一方の向山氏は同日、記者団に「私は(その県民に、還流は)ないと否定した。疑義が出ているので執行部は説明責任を果たすべきだと述べた。知事や足立氏を誹謗する意図はない」と強調。「提訴の言及は議会への圧力だ」として、撤回や謝罪を拒否している。

「自分」を提訴?

 法的にはどうなのか-。憲法51条は国会議員の議会での発言について免責特権を保障しているが、地方議員に類推して適用することはできないというのが通説・判例だ。