産経抄産経抄 記事一覧会員向け記事

  •  幕末の日本は、開国を迫るために「黒船」を率いてやって来たペリー提督一行をいかにもてなしたか。1854年の日米和親条約の締結をひかえて、横浜に上陸していた一行を接待したメニューが残っている。

  •  首相官邸のホームページの英語版では、安倍晋三首相の名前は、「Shinzo Abe」となっている。中国の習近平国家主席や韓国の文在寅大統領の表記のように、日本語の語順通り「姓+名」にできないのか。

  •  「全国一般風ノ向キハ定(さだま)リナシ天気ハ変リ易(やす)シ 但(ただ)シ雨天勝チ」。全国的に風向きは時に決まらず、天気は変わりやすく、雨が降りやすい。明治17(1884)年6月1日、日本で初めて天…

  •  囲碁のタイトル戦で初めての海外対局となったのは、昭和60年にソウルで行われた第9期棋聖戦の第1局である。当時の趙治勲(ちょう・ちくん)棋聖と旧知の間柄だった作家の沢木耕太郎さんも、誘われて同行してい…

  •  オーストラリアにとって、最大の貿易相手国である中国は、なくてはならない存在である。全人口の5・6%に当たる約120万人もの中華系豪州人を抱えてもいる。その一方で近年、大変な脅威であることも分かってき…

  •  永井荷風は昭和23年元日の日記に、こう書き留めている。「晴。来訪者なし。終日家にあり」。数え年で古希を迎え、胸のつかえがあったとみえる。朱書きで自作の歌を添えていた。〈七十になりしあしたのさびしさを…

  •  「きょうも、5人いますよ」。立憲民主党の「安定的な皇位継承を考える会」の16日の第12回会合で、山尾志桜里事務局長が記者に向かい声を上げた。同日付の小紙朝刊が、15日開催の同会会合について「出席者5…

  •  昭和49年の夏、阿部牧郎(まきお)さんは直木賞に落選した。6年前に初めて候補にあがって以来、7度目である。「惚(ほ)れた女に男がいた。あきらめる以外にない」。そんな心境だった(『大阪迷走記』)。

  •  「トラ大臣」と呼ばれた泉山三六は、若い頃から酒癖が悪かった。三井銀行の若手行員時代、職務質問に腹を立てて警察官を殴り飛ばし、留置場で夜を明かしたこともある。

  •  昭和19年11月から翌年の8月15日まで、米軍のB29爆撃機は、日本の64都市を焼き尽くした。大阪府堺市では、7月9日から10日にかけての空襲で、1370人が亡くなっている。

  •  昨年9月、台風21号の影響で、関西国際空港には数千人の旅行客が取り残されていた。すると中国の駐大阪総領事館がバスを派遣して、中国人観光客を優先的に救出した。中国のネット上にこんな情報が流れ、中国メデ…

  •  リレーといえば学校の運動会の花形だったが、最近は、抜かれたらいじめられるなどと選手になるのを嫌がる子供も多いという。立候補制やクラス全員参加で平等に走るなどリレーも様変わりしているようだ。

  •  『三国志』で武名が高い蜀(しょく)の関羽は、「財神」として現代の中国人に祭られている。つまり商売や金儲(もう)けの神様である。正しい行いをして富を得たい-との庶民の願いに、公平無私の人として描かれた…

  •  高校生の頃、まだ存命中だった祖父が、何を思ったのか『日本国憲法』という本を買って土産にくれた。大きな文字で条文が書かれているだけだったが、せっかくなので改めて読んでみた。すると前文から引っかかった。…

  •  「牛乳をコップでひといきにのんでしまうとはじめてシャク放だ。食卓イスからおろされて、サークルの中へ移転だ」「はじめこれに入れられたとき、ずいぶんイヤーンで抵抗したんだけれど、パパもママも出勤の用意で…

  •  大阪市立美術館で12日まで開催中の「フェルメール展」の入館者は昨日、50万人を超えた。東京開催分とあわせるとすでに約120万人が鑑賞したことになる。

  •  「麻雀は、戦争である。キミ自身の興亡が、それにかかっているのである」。連休中に読み返していた作家、色川武大(たけひろ)さんのエッセーにあった一節である。

  •  数学者の藤原正彦さんは、大学院時代の指導教官から厳命されたそうだ。「フェルマーだけはやるな。数学人生終わりだよ」(『世にも美しい数学入門』ちくまプリマー新書)。

  •  作家の向田邦子さんは子供の頃、宴席から酔って帰った父によく起こされた。手をつけなかった口取り肴(ざかな)や二の膳の折詰を広げ、父は「さあ、お上がり」と促す。夢とうつつの境で箸を行き来させる子供たちを…

  •  唐突に作家、池波正太郎さんの代表作の一つ『剣客商売』で、主人公の秋山小兵衛が説いたセリフが頭に浮かんだ。「人の世は、みんな、勘ちがいで成り立っているものなのじゃよ」。4月29日付の韓国紙、中央日報の…

  •  「遠慮のかたまり」という言葉は関西で生まれたらしい。たとえば、お土産に箱入りのまんじゅうをいただいたとする。最後に残った一つに手を出しづらい状態を指す。他人に対して控えめに振る舞う。「遠慮」の説明と…

  •  富士山の名前の由来は諸説ある。その一つが「不死の山」。『竹取物語』で、かぐや姫が帝(みかど)に「不老不死の秘薬」を残して月に帰る。悲しみにくれる帝が、山頂で秘薬を焼いたという。

  •  作家の山本周五郎が、昭和32年の暮れに発表したエッセーでぼやいていた。どうしてこんな寒い季節に「おおみそか」と「新年」を隔てる木戸を設けたのか、と。

  •  平成の終わりにあたり、何か感動的な話や気の利いた文句を書こうとパソコンの前に座ったが、何も浮かんでこない。記者としてお恥ずかしい限りだが、平常運転で出発進行するとしよう。

  •  先日90歳近い父親から「おまえが小さい頃は苦労かけた」と言われ当惑した。食うに困った記憶なく戦中から戦後の自分の体験と重なったか。そういえば実家は3世代同居で狭く、物置2階を改造し寝起きしていた小さ…

  •  世の中は、暦通りに休める人と休めない人でできている。〈元日を稼ぐ因果の芸渡世〉。俳優の小沢昭一さんがひねった句に、共感の一票を入れる人は多かろう。小欄もその口である。大型連休が始まったきのう、本稿の…

  •  オバマ米政権の副大統領だった民主党のバイデン氏が25日、来年の大統領選への出馬を表明した。党の指名候補争いでは最有力と目されている。折しも日本時間27日には、安倍晋三首相とトランプ大統領との10回目…

  •  「空気からパンを作る」という言葉がある。空気中の窒素から、農作に欠かせない肥料の原料となるアンモニアを合成することを意味する。1898年、英科学者のクルックスによる大英学術協会での演説が、「20世紀…

  •  平成3年に82歳で亡くなった新劇俳優の中村伸郎(のぶお)さんは、若い頃から外車を乗り回してきた。ある日、代表を務める劇団の稽古を終えた女優の岸田今日子さんに声をかけた。「これからNHKなんだろ、送っ…

  •  スリランカの初代大統領、ジュニウス・リチャード・ジャヤワルデネ氏は、国民から親しみを込めて「ジェー・アール」と呼ばれていた。日本にやってきたスリランカ人が、JRを大統領のイニシャルと勘違いしたとの笑…

  •  バスの運転手といえば、小学生の男の子にとって、スポーツ選手と並ぶあこがれの職業である。坂井昭彦さんもその一人だった。中学校や高校の教員を経て、46歳で幼い頃からの夢をかなえて転職する。

  •  海洋冒険家、堀江謙一さんの単独・無寄港世界一周の航海は、わずか8日で挫折する。昭和47年11月、ヨットのマストが破損して、漂流中に救助された。

  •  駅の窓口に長い行列ができる時期は決まっている。定期券が入り用になる年度初めと、6カ月定期の切れる秋である。首都圏の鉄道会社が「定期券を早めに買うアーリーさん、直前に買うギリギリスさん」と呼びかけた標…

  •  貧すれば鈍する、という言い方は国民民主党にはそぐわないかもしれない。何しろ「約100億円のカネとスタッフ、地方組織がある」(立憲民主党衆院会派所属の岡田克也元副総理)という裕福な党なのだから。ただ、…

  •  評論家の石平さんが昨日の小紙に、中国で起きている「日本で花見するブーム」について書いていた。石平さん自身、桜には目がない。ある花の名所で、一心にシャッターを切る姿をお見かけしたことがある。

  •  名探偵ホームズの生みの親、コナン・ドイルは、実は歴史小説家として世に出たかった。それほど思い入れがなかった証拠に、作品のなかで一度ホームズを殺している。

  •  『パリは燃えているか』。ルネ・クレマン監督の往年の映画は、ヒトラーの実際の言葉が、タイトルになっている。占領下に置くパリの死守をナチス・ドイツ軍の司令官に命じていた。

  •  男子ゴルフのタイガー・ウッズ選手が稼ぎ出した、とんでもない金額が明らかになったのは、2009年10月である。史上初めてスポーツ選手として生涯収入が、10億ドル(約890億円)を超えた。前年には全米オ…

  •  アナログ的な思考に慣れた身には、若者の使う略語がいい頭の体操になる。最近のCMで膝を打ったのは「ギガ死」だった。スマートフォンで動画などを見過ぎたため、通信速度制限で画面が止まる不都合を指す。

  •  周囲の迷惑など気に留めず、似たようなことを繰り返す懲りない人がいる。小欄は6日、立憲民主党最高顧問、菅直人元首相がブログなどで他党に口出ししていることを紹介した。国民民主党に解党と、個々の判断での政…

  •  桜田義孝氏は、もともと不思議な言葉遣いをする人だった。たとえば、五輪相に就任したばかりの昨年11月、小紙のインタビューでのやりとりである。2020年東京五輪・パラリンピックにどう臨むか。この質問に「…

  •  なんとも納得しがたい判決である。愛知県内で平成29年、当時19歳の実の娘と性交したとして、準強制性交罪に問われた父親に対し、名古屋地裁岡崎支部は無罪の判決を言い渡した。

  •  明治100年ブームに沸いた昭和43年、作家の城山三郎さんは小紙への寄稿で嘆いていた。「明治100年の50年分ぐらいは、この人の力でつくられたようにも思えるのだが、一向にその名が出ない」。

  •  「先生が泣きながら『次世代の土台になった。これくらいの苦労、また次も乗り越えられるよ』とおっしゃってくれた」。今年2月に亡くなった堺屋太一さんの葬儀で、元大阪市長の橋下徹さんは涙ながらに弔辞を読んだ…

  •  評判になっていると聞いて、久しぶりに生物の教科書を開いた。同僚の長辻象平記者が先月、連載記事で紹介した『生物・生命科学大図鑑』である。遺伝学の章でこんな記述を見つけた。

  •  入学式シーズン、近所の私立中高一貫校の前を通ると、チラシを配る列があった。保護者のような顔をして受け取ると、スマートフォンを使った学習システムの案内が目立つ。無料通信アプリのLINEなどを通じ、添削…

  •  「因果はめぐる小車(おぐるま)」という。立憲民主党最高顧問である菅直人元首相は3日のブログ「混迷の続く国民民主党」で、同党解党と、個々の議員の判断での政治理念の近い政党への参加について、上から目線で…

  •  「おはよう、フェルプス君」。テープレコーダーに録音された当局からの指令はリーダーへの呼びかけで始まる。特殊な能力を持つスパイがチームを組んで、極秘任務を遂行する。

  •  米国の首都ワシントンでは先月末から、全米桜祭りが始まり、桜並木も見頃を迎えている。苗木はもともと日本から贈られ、長年日米友好の象徴となってきた事実はよく知られてきた。ただ、実現までには多くのハードル…

  •  焼き肉店を切り盛りしながら、3人の子供を育て上げた。50歳を過ぎて在日韓国人のオモニは、文字の読み書きから学び始めた。かつての不良少女は今、美容師をめざす。不登校が続いた少女は、ようやく自分の居場所…

  •  「日本最古の歌集であるだけでなく、ほとんどの日本文学研究者の意見では日本最高の歌集である」。今年2月に世を去ったドナルド・キーンさんは、『万葉集』をこうたたえていた(『日本文学の歴史』)。

  •  昨夜遅く、ついに新元号が、わかった。「いろいろと苦労しているようだから、これくらい教えてあげよう」と、取材で懇意になったある人が、そっと機密情報を漏らしてくれたのだ。さっそく、読者のみなさんにお知ら…

  •  女優の檀ふみさんは、甥(おい)が中学生だった頃に英語の家庭教師を引き受けた。ある日の授業で問題を出してみた。「エレガントは何の意味?」。甥は考え込んでいる。「私の姿を、日本語で上手に表すとしたら?」…

  •  これが漫才ならば「いいかげんにしろ」と、最後に相方を抑える場面だろう。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は28日、大統領府に日本企業関係者らを招き、日韓関係の悪化を懸念する日本側に言い放った。「経…

  •  ペンタゴン(五角形)の通称で知られる米国防総省の一角に「ネット・アセスメント(総合戦略評価)局」がある。スタッフはわずか20人ほど。

  •  戦国時代の名将、上杉謙信は最大のライバルだった武田信玄と14年もの間戦い続けた。信玄の死の報告を受けると、「敵の中の最も善き者」を失ったことに慟哭(どうこく)したという。

  •  「暗黒街の帝王」と恐れられたアル・カポネは、禁酒法下のシカゴで密造酒の製造を取り仕切り、巨万の富を築いていた。禁酒法違反や殺人の容疑では逮捕が難しい。米財務省の捜査官、エリオット・ネスは大きな壁にぶ…

  •  囲碁界は、来月に史上最年少の10歳でプロ入りする仲邑菫(なかむら・すみれ)さんの話題で持ちきりだ。小欄は、昨年プロデビューしたやはり女流棋士の加藤千笑(ちえ)初段(17)にも注目している。男性棋士と…

  •  「庭でふきのとうを二つばかり見つけたので、干しわかめの雑炊にふきのとうを散らして、いかの塩辛で食べる」「お米を倹約して、小麦粉とそば粉でホットケーキ。会社の人にもらったサッカリンを入れて焼いてみた」…

  •  イチロー選手が渡米から11シーズン余り在籍したマリナーズを去り、ヤンキースへ移籍したのは2012年夏だった。10年連続200安打の記録を残した球団の顔が定位置の約束もない名門になぜ渡るのか。米球界の…

  •  「監督は絶対無理です。人望がない、本当に。それぐらいの判断能力は備えている」。現役引退を表明した米大リーグ、マリナーズのイチロー選手は21日深夜に始まった記者会見で強調した。不謹慎かもしれないが、平…

  •  流線形や球形の奇抜な建築物が並ぶ、未来都市の印象だという。石油やウランなどの豊富な天然資源に恵まれた中央アジアの経済大国カザフスタンの首都、アスタナである。

  •  アドルフ・ヒトラーがドイツの首相に指名された1933年、米英両国で一枚の写真が話題になっていた。被写体は、赤ん坊時代のヒトラーである。あざ笑うように分厚い唇をゆがめ、額には脂ぎったもじゃもじゃの髪が…

  •  電子部品メーカー、東京電子工業を一代で築き上げたワンマン社長、石原修の急死で物語は始まる。長年側近として仕えてきた副社長の宮本正樹が、昇格するのが順当であり、本人も野心がないわけではない。

  •  明治初年に日本に赴任していた清の外交官のなかに、黄遵憲(こう・じゅんけん)という詩人がいた。東京で初めて見た桜の花のあでやかさに感激していた。同時に、日本人が桜に抱く思いの強さに驚いている。

  •  横山秀夫さんの6年ぶりの新作『ノースライト』(新潮社)が話題になっている。警察小説で知られる著者が今度は建築家を主人公にした。題名は、北からの柔らかな光だ。それを取り込み設計した「Y邸」から、施主一…

  •  「叱る」という字の旁(つくり)をなす「七」は鋭い刃で切ることを意味する。つまり口舌の刃(やいば)で相手に傷をつけること。さりとて一刀両断では相手の立つ瀬がないし、多言を弄して切り刻んでも恨みを残す。…

  •  朝から、ついカップ麺を食べてしまう。NHKの連続テレビ小説「まんぷく」のせいである。即席ラーメンを生み出した夫婦を描くこのドラマを見たばかりに、数年ぶりにチキンラーメンにも手が伸びた。同商品の平成3…

  •  大阪ダブル選の構図が固まった。大阪都構想の実現を目指して、入れ替わり出馬する松井一郎大阪府知事と吉村洋文大阪市長に対して、府知事選に元副知事の小西禎一(ただかず)氏が、市長選には元大阪市議の柳本顕(…

  •  2017年は、航空機の歴史のなかで輝かしい年となった。ジェット旅客機の死亡事故がゼロとなったからだ。残念ながら、昨年に続いて今年もまたゼロとはならない。

  •  平成11年に74歳で亡くなった喜劇役者、三木のり平さんの本名は、田沼則子だった。「のりこ」ではなく、「ただし」と読む。「男に『子』がつくのはおかしい」。母親の言い分に、父親は耳を貸さなかった。

  •  マンモスといえば、マンモス大学やマンモス団地のように、「巨大な」という意味で使われる。実際は、現在のアフリカゾウより少し小さかったらしい。全身を毛で覆われ、鋭い牙を持ち、北半球に広く生息していた。約…

  •  米国現代史の最大の謎といえるのが、1963年に起きたジョン・F・ケネディ大統領の暗殺である。犯人として逮捕されたオズワルドは、事件の2日後に殺される。

  •  昨年の平昌五輪では、銅メダルを獲得した女子カーリング日本代表選手の「もぐもぐタイム」が、話題になった。まもなく、意外な事実が明らかになる。休憩中に選手が口にしていた韓国のイチゴのルーツは日本だった。

  •  時間は、ただ一つの方角へと流れている。「人生は後ろ向きにしか理解できないが、前を向いてしか生きられない」。デンマークの哲学者、キルケゴールの警句だという。あの日、あの時、あの場所で-と振り返ることは…

  •  本当の失望が訪れたときは、金王朝はおしまいだろう。トランプ米大統領は6日、北朝鮮が廃棄を約束したミサイル発射場の再建を進めているとの情報について「もしそうなら、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委…

  •  「PM2・5」が、日本で注目されるようになったのは、平成25年からだ。北京を含む中国各地で大気汚染が悪化して、死者も出た。直径2・5マイクロメートル以下の微小粒子状物質は、呼吸器疾患を誘発するとされ…

  •  かつて「日産の救世主」ともてはやされた前会長、カルロス・ゴーン被告(64)の功績は、業績のV字回復にとどまらない。多くのファンが待望していた名車の復活も成し遂げた。

  •  曹洞宗の開祖、道元は23歳のとき、宋の国に留学する。まだ港に停泊中の船に老いた僧が、日本のしいたけを買いにやってきた。禅寺で食事をつくる役職である典座(てんぞ)だった。

  •  駅前のスーパーの駐車場を利用するたびに気になっていた。「カラス侵入禁止」と書いてある張り紙である。冗談としか思えなかったが、最近ようやく謎が解けた。

  •  アフリカに生息する鳥の一種、クロオウチュウは信用を逆手に取るのがうまいと聞く。他の鳥や動物が獲物に群がるのを見張り、敵が近づくと高声で鳴いて危険を知らせる。たまに嘘の警告で鳥たちを追い払い、獲物を失…

  •  韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領がお膳立てしたトランプ米大統領と金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長とのお見合いは今回、不首尾に終わった。文氏が米朝それぞれにささやいた甘い仲人口は、双方の…

  •  「曲学阿世(きょくがくあせい)」という四字熟語がある。サンフランシスコ平和条約の締結に際して、吉田茂首相が南原(なんばら)繁東大総長を非難する際に使われた。中国前漢の武帝の時代に、袁固生(えんこせい…

  •  韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権が、「建国の起点」と位置づける「三・一独立運動」の100周年記念日が明日に迫った。日本統治下の朝鮮で1919年3月1日、京城(現ソウル)に集まった人々が独立を宣言し…

  •  「私は『かわいそうに』と言われることが一番嫌いです」。児童養護施設に暮らす女子高校生が、愛読している作家、有川浩(ひろ)さんに手紙を書いた。世の中に私たちのことを正しく知ってもらいたい。

  •  日本文学者のドナルド・キーンさんは、「東北に対する私の偏見」と題した講演を行ったことがある。日本に興味を持ち始めたころ、寒くて暗い印象を持っていたという。偏見を取り去ってくれたのが、松尾芭蕉の『奥の…

  •  トランプ米大統領も狙っているノーベル平和賞は、とても無理だとあきらめたのか、物理学賞を本気で狙っているのだろう。あの鳩山由紀夫元首相が、北海道で起きた最大震度6弱の地震を「人災だ」と断定した。

  •  その道の名人達者は、世界の見え方が凡下とまるで異なるらしい。

  •  現在、北朝鮮による日本人拉致問題の解決の大きな妨げとなっているのは、韓国なのではないか。国際社会による対北制裁に穴をあけ、北の非核化と拉致被害者解放の決断を遅らせ、意欲を失わせるような言動を重ねてい…

  •  アレルギーという言葉は20世紀のはじめ、オーストリアで生まれた。かつて日本では、原因がわからない病気は何でもアレルギーと呼んでいた。

  •  昭和50年5月に初来日したエリザベス英女王は、なかなかの日本通だった。歌舞伎の「黒子」の知識があり、楽焼の茶碗(ちゃわん)を手に取れば、即座に「ろくろ」と日本語を口にした。

  •  ノーベル賞のなかでも、平和賞だけはなぜこの人がと、しばしば疑問の声が上がる。「核なき世界に向けた構想と努力」を理由に、2009年に受賞したオバマ前米大統領もその一人である。米メディアは保守、リベラル…

  •  「嘘というものはな、釣り針に似ている」。宮部みゆきさんの時代小説『桜ほうさら』で、主人公が父親の訓話を思い出す場面がある。釣り針には、魚の口に引っかかったら容易に外れぬように、返しがついている。「そ…

  •  学徒出陣で召集された若者の多くが、『万葉集』を携えていた。京都帝国大学文学部を繰り上げ卒業して海軍航空隊に入隊した、直木孝次郎さんもその一人である。

  •  俳優の杉良太郎さん(74)は初めてベトナムを訪ねた折、孤児院で1人の少女と出会った。30年近く前のことである。お土産のチョコレートには、手を付けようとしない。「早く食べなさい」。うなずく杉さんを、少…

  •  マッカーサーを気取っているのか。立憲民主党の枝野幸男代表は14日、自身が小学6年生の男児を子育て中だと語った上で、安倍晋三首相をくさした。「首相が小学6年生並みだ。下手をすると、うちの息子の方がまだ…

  •  糖尿病で入院中の会社の先輩からメールが届いた。韓国による昨今の嫌がらせの数々に、怒り心頭に発している様子である。確かに韓国国会の文喜相(ムン・ヒサン)議長の暴言に至っては、一線を越えてしまった感があ…

  •  寄席の楽屋で耳よりな話を聞いた。家賃のいらない家があるというのだ。しかも長屋は新しく、電気も水道もある。喜んで引っ越したら、とんだ「なめくじ長屋」だった。もともと池だったところで、ジメジメしてナメク…

  •  国際オリンピック委員会(IOC)の副会長を務めた清川正二(まさじ)さんは、講演でドーピング問題に触れるたびに話題にしていた。日本人女性初の金メダリストとなった兵藤(旧姓・前畑)秀子さんが飲み込んだ、…

  •  文部科学相が「教育勅語」と口にしただけで目くじらを立てる方々は腰を抜かすかもしれない。戦前の歴史教科書は天照大神(あまてらすおおみかみ)から始まるのが定番だった。社内の資料室にあった尋常小学校教科書…

  •  いつにない冷え込みに眠りを妨げられ、時計の目覚ましが鳴るより早く床を抜け出た。明け切らぬ町を最寄り駅へと急ぐ。寝息を立てる近隣の屋根、沿道の植え込みには、粉砂糖をまぶしたほどの雪がすでに積もっていた…

  •  どうやら、柳の下に二匹目のドジョウはいないようである。野党は厚生労働省の「毎月勤労統計」が不適切な調査だと発覚した際、平成19年5月の第1次安倍晋三政権時代に明るみに出た「消えた年金問題」の再来だと…

  •  表向き肉食が禁じられていた江戸時代でも、薩摩(鹿児島)では普通に豚肉が食べられていた。それに目を付けたのが、豚肉が大好物だった最後の将軍、徳川慶喜である。「豚一殿(ぶたいちどの)」というあだ名がつい…

  •  ホワイトハウスに悲報がもたらされたのは、1986年1月28日の朝だった。スペースシャトル「チャレンジャー」の爆発事故である。レーガン米大統領とスタッフは、その日の夜に議会で行う一般教書演説の打ち合わ…

  •  早くに妻を亡くした人形作家のハルさんの一人娘、ふうちゃんが、結婚式を挙げる。式場に向かうハルさんは、娘が成長の過程で遭遇したいくつもの事件を思い出す。

  •  南部アフリカのアンゴラでは、1975年の独立以来、27年間も内戦が続いた末にようやく終息した。かくも長引いたのは、政府、反政府勢力がそれぞれ、豊富な石油、ダイヤモンドの利権を押さえていたからだ。両勢…

  •  さあ、北海道へ行こう。という気分が、今ひとつ出てこない。昨年の北海道胆振東部地震の影響で落ち込んだ観光産業を支援しようと、観光庁が音頭をとっている「元気です北海道」キャンペーンも絶賛開催中なのだが、…

  •  明治生まれの詩人、坂村真民に『二度とない人生だから』という情味豊かな一編がある。一輪の花に愛を注ごう、一匹の虫も踏まぬよう心しよう-と誓った詩はこう続く。〈一ぺんでも多く/便りをしよう/返事はかなら…

  •  日教組の今年の教育研究全国集会が1日、北九州市で始まった。集会で岡島真砂樹委員長は強調したという。「憲法、平和と民主主義、そして教育の危機がさらに緊迫度を増している」。旧態依然、時代錯誤、頑迷固陋(…

  •  「節分には必ずお化けが出た」と直木賞作家の松井今朝子(けさこ)さんはいう。生家である京都・祇園町の日本料理店に訪ねてくる、仮装した芸妓(げいこ)さんや舞妓(まいこ)さんを指す。豆まき同様に、冬から春…

  •  「この道ひとすじなんて言葉は絶滅しちゃったんだなあ。橋本治ってヒトを見てるとつくづく思う」。35年前のインタビュー記事は、軽い調子の書き出しである。

  •  『罵詈(ばり)雑言辞典』を編集した奥山益朗(ますろう)さんは、前書きでぼやいている。「日本語は実に罵言の貧困な言葉だ」「ことに東京を中心とした共通語には、ロクな罵語がない」。

  •  作家の故水上勉は、9歳のときに京都の寺に預けられた。やがて寺を飛び出し、42歳で直木賞を受賞して流行作家になるまで、職を転々とする。薬の行商、役所勤め、中国での苦力(クーリー)監督、代用教員など、そ…

  •  「テニスでは、あと一本で勝つという時が難しい。人間って必ず欲、煩悩が出るから。何がなんでも勝ちたいという気持ちが出てしまう。それを『待ってました!』とばかりに相手に見取られてしまう」。

  •  ロシアのプーチン大統領は隠れもない柔道の達者である。総本山の講道館(東京都文京区)をこれまで何度か訪ねており、平成12年には六段と紅白帯を贈られてもいる。同僚記者が昨年、講道館に問い合わせた。「その…

  •  戦後日本文学界を代表する作家、三島由紀夫は漫画好きだった。「私は自分の小学生の娘や息子と、少年週刊誌を奪ひ合つて読むやうになつた」(『劇画における若者論』)。ちばてつやさんの『あしたのジョー』の続き…

  •  『半七捕物帳』の作者、岡本綺堂が若い頃の東京には、まだ江戸の情緒が残っていた。インフルエンザが猛威を振るった明治23年から翌年にかけて、江戸時代に流行(はや)った「お染風」の呼び方が復活する。

  •  驚いたことに40年以上も前に刊行された本が、昨年12月から新装版として書店に並んでいる。故山本七平さんの『「空気」の研究』(文春文庫)である。山本さんは、日本社会を「大きな絶対権をもった妖怪」である…

  •  「情熱の歌人」と呼ばれた与謝野晶子は明治45年、シベリア鉄道で一人パリに向かった。前年に渡欧した夫の寛の後を追ったのだ。

  •  映画は、学生たちが大使館に押し入り、多数の外交官を人質にする場面で始まる。1979年11月にイスラム革命後のイランで起きた、米大使館占拠事件である。実は6人の職員が裏口から脱出して、カナダ大使公邸に…

  •  流れ星はかつて、夜這星(よばいぼし)と呼ばれていた。清少納言も『枕草子』のなかで、「よばひぼしすこしをかし。尾だになからましかば、まいて」と書いている。「流れ星も興味深い。尾がなければもっといいのに…

  •  冬木立の下を歩くと、ふと気付くことがある。裸の枝が織りなす網の目を透かし、仰ぎ見る空は思いのほか青い。揚げ損ねの洋凧(ようだこ)を召し捕ったサクラの枝は、すでに新たな季節の予感をふくらみの中に宿して…

  •  「北と南が手を握って日本の罪悪を暴き…」。北朝鮮の李種革(リ・ジョンヒョク)・朝鮮アジア太平洋平和委員会副委員長は昨年11月、韓国での国際シンポジウムでこう訴えた。韓国最高裁がいわゆる徴用工訴訟で、…

  •  「結婚は簡単だが、離婚は難しい」。英国のチャールズ皇太子とダイアナ妃が繰り広げた泥沼の離婚劇は、この言葉をまざまざと思い出させてくれた。二人の間には、結婚当初からすきま風が吹いていたらしい。

  •  現在なら、監督失格である。「肩が痛い」と訴えても、「たるんどる」の一言ですまされた。今年の野球殿堂入りを果たした権藤博さん(80)は歯を食いしばって、来る日も来る日もマウンドに上がり続けた。

  •  昨日の全豪オープンテニス男子1回戦、錦織圭選手は2セットダウンからの逆転勝ちだった。12日に82歳で亡くなった女優の市原悦子さんは著書で、そんな錦織選手に苦言を呈している。「もっと余裕をもって勝たな…

  •  ソルトレークシティー五輪の招致をめぐる買収スキャンダルを地元テレビがすっぱ抜いたのは、1998年の暮れだった。国際オリンピック委員会(IOC)の委員10人が、追放あるいは辞任に追い込まれる事態に発展…

  •  本紙で新たに連載が始まった「日本人の心」の武将、楠木正成は数え16歳で元服した。12歳で初陣の正成にしては遅かったとか。時は流れ、現代の若者は7割以上が成人式は「20歳で」と希望している。

  •  休日の昼下がりに、父と兄と妹が3人でテレビを見ている。「お父さんとお兄ちゃんは、あんまし話さないけど…」。妹のナレーションにやおら立ち上がった父は、左腕から右腕、あごの順に自分の体をなでていく。野球…

  •  ふと「盗人(ぬすっと)猛々(たけだけ)しい」という言葉は、韓国にもあるのだろうかと気になった。調べると「賊反荷杖(チョクバンハジャン)」がそれに当たるという。泥棒が逆ギレし、あべこべに鞭(むち)を振…

  •  テレビの旅番組が花盛りである。タレントがどこかの国に出かけて美しい風景を紹介し、珍しい料理に舌鼓を打つ。あらかじめ現地のコーディネーターが決めたスケジュールに沿って、撮影は進む。

  •  幼い頃の思い出として多くの人が肩車を挙げる。詩人の長田弘さんもその一人だった。「わたしは巨人だ。ちっちゃな巨人だ。わたしの見ているものはほかの誰にも見えないものだ」。「肩車」という詩に、父親の肩の上…

  •  「フランスという国がどれほど日本に知られていないか、ご想像以上なのです…日本にはフランス文学についての本すらありません」。著名な作家でもあった駐日フランス大使、ポール・クローデルが本国にあてた書簡で…

  •  パリで車を止めたところは、駐車禁止の場所だった。たちまち警官がやってきて怒鳴り出す。ところが、今日これから日本に帰るところだと説明すると、態度は一変する。「パリは気に入りましたか」とニコニコと話しか…

  •  ソニーの創業者、井深大(まさる)さんは、幼児教育の研究者としても知られていた。著書の『幼稚園では遅すぎる』に、親友だったホンダの創業者、本田宗一郎さんから聞いた幼い頃のエピソードを記している。

  •  国民に高い人気を誇る日本のマラソン界にも、夜明け前の時代はあった。日本が初参加した1912年ストックホルム五輪にこぼれ話がある。マラソン代表に選ばれた選手が辞退を願い出た。「荷が重過ぎる」と。

  •  日本の近隣国は、正式な国交のない台湾を除き、困った国ばかりである。中国は尖閣諸島(沖縄県石垣市)への領土的野心を隠さず、軍事的・経済的膨張主義をとっている。ただ、世界第2位の経済大国であり、米国と並…

  •  「中二病」という言葉がある。中学2年生ぐらいの男子が、自意識にめざめて反抗的になったり、背伸びして大きなことを言い出したりする症状を指す。

  •  歌舞伎の六代目菊五郎は、大の相撲好きだった。昭和14(1939)年1月15日、双葉山の連勝が69で止まった「世紀の番狂わせ」も、マス席から見ている。悲鳴と怒号、座布団が飛び交うなか、ただ一人顔色一つ…

  •  慶応4(1868)年の元日の江戸は快晴だったらしい。まもなく鳥羽、伏見で旧幕府軍と新政府軍の戦闘が始まる。7月には江戸が東京と改称され、9月には明治と改元、つまりこの年は明治元年となる。

  •  師走の週末。15分の休憩時間が終わり、コンサート第2部の幕が開こうかというそのとき、演者も現れていないのに、2階席で拍手が鳴り響いた。何事かと振り向くと、美智子皇后陛下がおいでになったのである。

  •  『徒然草』の吉田兼好に筆のしくじり話がある。雪の降る朝、知人に用件のみをしたため手紙を出したところ、返事が来た。雪に一言も触れぬ、ひねくれ者の言うことを聞けましょうか。「口をしき御心(みこころ)なり…

  •  「仮想敵国は日本だ」。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の師匠にあたる故・盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領はブッシュ米政権のラムズフェルド国防長官と初会談した際、こう言い放った。今年2月の小欄でも紹…

  •  「私は一本のロウソクをとりあげて、皆さんに、その物質としての身の上話をいたしたいと思います」。『ロウソクの科学』(KADOKAWA)は、こんな書き出しで始まる。

  •  夏目漱石の名刺を見たことがある。本名の夏目金之助の他、余計なものは何もない。明治44年に文部省から文学博士号を授与されても、躊躇(ちゅうちょ)なく辞退している。「たゞの夏目なにがしで暮したい希望を持…

  •  「クジラのコロ(皮)のおでんを、いつか安価で楽しめる日を待ち望むばかりである」。国際捕鯨委員会(IWC)からの脱退について、期待を込めたコラムを先週書いたら、お叱りの手紙をいただいた。「捕鯨問題がわ…

  •  長い歴史を持つクリスマスは、20世紀に入って大きく変容する。「何であろうとそのとき世界で起こっている悪いことをクリスマスにはいったん休止して、平和と博愛の時間を過ごそう」。そんな考え方が生まれて、第…

  •  有馬記念も終わり、今年も残り1週間となった。といってもきょうお伝えしたいのは「競馬必勝法」でなく写真の撮り方だ。読者にはプロ級の写真愛好家もいると思うので釈迦(しゃか)に説法なのはお許しいただきたい…

  •  トルコの民話に、稲を植える賢者が通りすがりの人にからかわれる話がある。「稲が実る頃には、お前の体が弱っているだろう」。賢者は笑った。「いや、子孫のためさ。先祖が私のために植えてくれたように」。

  •  小学校の給食で供されたクジラの竜田揚げは硬くてなかなかかみ切れず、不人気メニューだった。大学時代、仲間と一杯やる際は、クジラベーコンが定番のつまみだった。何しろ安かったし、近所のコンビニでもパック入…