産経抄産経抄 記事一覧会員向け記事

  •  イチロー選手が渡米から11シーズン余り在籍したマリナーズを去り、ヤンキースへ移籍したのは2012年夏だった。10年連続200安打の記録を残した球団の顔が定位置の約束もない名門になぜ渡るのか。米球界の…

  •  「監督は絶対無理です。人望がない、本当に。それぐらいの判断能力は備えている」。現役引退を表明した米大リーグ、マリナーズのイチロー選手は21日深夜に始まった記者会見で強調した。不謹慎かもしれないが、平…

  •  流線形や球形の奇抜な建築物が並ぶ、未来都市の印象だという。石油やウランなどの豊富な天然資源に恵まれた中央アジアの経済大国カザフスタンの首都、アスタナである。

  •  アドルフ・ヒトラーがドイツの首相に指名された1933年、米英両国で一枚の写真が話題になっていた。被写体は、赤ん坊時代のヒトラーである。あざ笑うように分厚い唇をゆがめ、額には脂ぎったもじゃもじゃの髪が…

  •  電子部品メーカー、東京電子工業を一代で築き上げたワンマン社長、石原修の急死で物語は始まる。長年側近として仕えてきた副社長の宮本正樹が、昇格するのが順当であり、本人も野心がないわけではない。

  •  明治初年に日本に赴任していた清の外交官のなかに、黄遵憲(こう・じゅんけん)という詩人がいた。東京で初めて見た桜の花のあでやかさに感激していた。同時に、日本人が桜に抱く思いの強さに驚いている。

  •  横山秀夫さんの6年ぶりの新作『ノースライト』(新潮社)が話題になっている。警察小説で知られる著者が今度は建築家を主人公にした。題名は、北からの柔らかな光だ。それを取り込み設計した「Y邸」から、施主一…

  •  「叱る」という字の旁(つくり)をなす「七」は鋭い刃で切ることを意味する。つまり口舌の刃(やいば)で相手に傷をつけること。さりとて一刀両断では相手の立つ瀬がないし、多言を弄して切り刻んでも恨みを残す。…

  •  朝から、ついカップ麺を食べてしまう。NHKの連続テレビ小説「まんぷく」のせいである。即席ラーメンを生み出した夫婦を描くこのドラマを見たばかりに、数年ぶりにチキンラーメンにも手が伸びた。同商品の平成3…

  •  大阪ダブル選の構図が固まった。大阪都構想の実現を目指して、入れ替わり出馬する松井一郎大阪府知事と吉村洋文大阪市長に対して、府知事選に元副知事の小西禎一(ただかず)氏が、市長選には元大阪市議の柳本顕(…

  •  2017年は、航空機の歴史のなかで輝かしい年となった。ジェット旅客機の死亡事故がゼロとなったからだ。残念ながら、昨年に続いて今年もまたゼロとはならない。

  •  平成11年に74歳で亡くなった喜劇役者、三木のり平さんの本名は、田沼則子だった。「のりこ」ではなく、「ただし」と読む。「男に『子』がつくのはおかしい」。母親の言い分に、父親は耳を貸さなかった。

  •  マンモスといえば、マンモス大学やマンモス団地のように、「巨大な」という意味で使われる。実際は、現在のアフリカゾウより少し小さかったらしい。全身を毛で覆われ、鋭い牙を持ち、北半球に広く生息していた。約…

  •  米国現代史の最大の謎といえるのが、1963年に起きたジョン・F・ケネディ大統領の暗殺である。犯人として逮捕されたオズワルドは、事件の2日後に殺される。

  •  昨年の平昌五輪では、銅メダルを獲得した女子カーリング日本代表選手の「もぐもぐタイム」が、話題になった。まもなく、意外な事実が明らかになる。休憩中に選手が口にしていた韓国のイチゴのルーツは日本だった。

  •  時間は、ただ一つの方角へと流れている。「人生は後ろ向きにしか理解できないが、前を向いてしか生きられない」。デンマークの哲学者、キルケゴールの警句だという。あの日、あの時、あの場所で-と振り返ることは…

  •  本当の失望が訪れたときは、金王朝はおしまいだろう。トランプ米大統領は6日、北朝鮮が廃棄を約束したミサイル発射場の再建を進めているとの情報について「もしそうなら、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委…

  •  「PM2・5」が、日本で注目されるようになったのは、平成25年からだ。北京を含む中国各地で大気汚染が悪化して、死者も出た。直径2・5マイクロメートル以下の微小粒子状物質は、呼吸器疾患を誘発するとされ…

  •  かつて「日産の救世主」ともてはやされた前会長、カルロス・ゴーン被告(64)の功績は、業績のV字回復にとどまらない。多くのファンが待望していた名車の復活も成し遂げた。

  •  曹洞宗の開祖、道元は23歳のとき、宋の国に留学する。まだ港に停泊中の船に老いた僧が、日本のしいたけを買いにやってきた。禅寺で食事をつくる役職である典座(てんぞ)だった。

  •  駅前のスーパーの駐車場を利用するたびに気になっていた。「カラス侵入禁止」と書いてある張り紙である。冗談としか思えなかったが、最近ようやく謎が解けた。

  •  アフリカに生息する鳥の一種、クロオウチュウは信用を逆手に取るのがうまいと聞く。他の鳥や動物が獲物に群がるのを見張り、敵が近づくと高声で鳴いて危険を知らせる。たまに嘘の警告で鳥たちを追い払い、獲物を失…

  •  韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領がお膳立てしたトランプ米大統領と金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長とのお見合いは今回、不首尾に終わった。文氏が米朝それぞれにささやいた甘い仲人口は、双方の…

  •  「曲学阿世(きょくがくあせい)」という四字熟語がある。サンフランシスコ平和条約の締結に際して、吉田茂首相が南原(なんばら)繁東大総長を非難する際に使われた。中国前漢の武帝の時代に、袁固生(えんこせい…

  •  韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権が、「建国の起点」と位置づける「三・一独立運動」の100周年記念日が明日に迫った。日本統治下の朝鮮で1919年3月1日、京城(現ソウル)に集まった人々が独立を宣言し…

  •  「私は『かわいそうに』と言われることが一番嫌いです」。児童養護施設に暮らす女子高校生が、愛読している作家、有川浩(ひろ)さんに手紙を書いた。世の中に私たちのことを正しく知ってもらいたい。

  •  日本文学者のドナルド・キーンさんは、「東北に対する私の偏見」と題した講演を行ったことがある。日本に興味を持ち始めたころ、寒くて暗い印象を持っていたという。偏見を取り去ってくれたのが、松尾芭蕉の『奥の…

  •  トランプ米大統領も狙っているノーベル平和賞は、とても無理だとあきらめたのか、物理学賞を本気で狙っているのだろう。あの鳩山由紀夫元首相が、北海道で起きた最大震度6弱の地震を「人災だ」と断定した。

  •  その道の名人達者は、世界の見え方が凡下とまるで異なるらしい。

  •  現在、北朝鮮による日本人拉致問題の解決の大きな妨げとなっているのは、韓国なのではないか。国際社会による対北制裁に穴をあけ、北の非核化と拉致被害者解放の決断を遅らせ、意欲を失わせるような言動を重ねてい…

  •  アレルギーという言葉は20世紀のはじめ、オーストリアで生まれた。かつて日本では、原因がわからない病気は何でもアレルギーと呼んでいた。

  •  昭和50年5月に初来日したエリザベス英女王は、なかなかの日本通だった。歌舞伎の「黒子」の知識があり、楽焼の茶碗(ちゃわん)を手に取れば、即座に「ろくろ」と日本語を口にした。

  •  ノーベル賞のなかでも、平和賞だけはなぜこの人がと、しばしば疑問の声が上がる。「核なき世界に向けた構想と努力」を理由に、2009年に受賞したオバマ前米大統領もその一人である。米メディアは保守、リベラル…

  •  「嘘というものはな、釣り針に似ている」。宮部みゆきさんの時代小説『桜ほうさら』で、主人公が父親の訓話を思い出す場面がある。釣り針には、魚の口に引っかかったら容易に外れぬように、返しがついている。「そ…

  •  学徒出陣で召集された若者の多くが、『万葉集』を携えていた。京都帝国大学文学部を繰り上げ卒業して海軍航空隊に入隊した、直木孝次郎さんもその一人である。

  •  俳優の杉良太郎さん(74)は初めてベトナムを訪ねた折、孤児院で1人の少女と出会った。30年近く前のことである。お土産のチョコレートには、手を付けようとしない。「早く食べなさい」。うなずく杉さんを、少…

  •  マッカーサーを気取っているのか。立憲民主党の枝野幸男代表は14日、自身が小学6年生の男児を子育て中だと語った上で、安倍晋三首相をくさした。「首相が小学6年生並みだ。下手をすると、うちの息子の方がまだ…

  •  糖尿病で入院中の会社の先輩からメールが届いた。韓国による昨今の嫌がらせの数々に、怒り心頭に発している様子である。確かに韓国国会の文喜相(ムン・ヒサン)議長の暴言に至っては、一線を越えてしまった感があ…

  •  寄席の楽屋で耳よりな話を聞いた。家賃のいらない家があるというのだ。しかも長屋は新しく、電気も水道もある。喜んで引っ越したら、とんだ「なめくじ長屋」だった。もともと池だったところで、ジメジメしてナメク…

  •  国際オリンピック委員会(IOC)の副会長を務めた清川正二(まさじ)さんは、講演でドーピング問題に触れるたびに話題にしていた。日本人女性初の金メダリストとなった兵藤(旧姓・前畑)秀子さんが飲み込んだ、…

  •  文部科学相が「教育勅語」と口にしただけで目くじらを立てる方々は腰を抜かすかもしれない。戦前の歴史教科書は天照大神(あまてらすおおみかみ)から始まるのが定番だった。社内の資料室にあった尋常小学校教科書…

  •  いつにない冷え込みに眠りを妨げられ、時計の目覚ましが鳴るより早く床を抜け出た。明け切らぬ町を最寄り駅へと急ぐ。寝息を立てる近隣の屋根、沿道の植え込みには、粉砂糖をまぶしたほどの雪がすでに積もっていた…

  •  どうやら、柳の下に二匹目のドジョウはいないようである。野党は厚生労働省の「毎月勤労統計」が不適切な調査だと発覚した際、平成19年5月の第1次安倍晋三政権時代に明るみに出た「消えた年金問題」の再来だと…

  •  表向き肉食が禁じられていた江戸時代でも、薩摩(鹿児島)では普通に豚肉が食べられていた。それに目を付けたのが、豚肉が大好物だった最後の将軍、徳川慶喜である。「豚一殿(ぶたいちどの)」というあだ名がつい…

  •  ホワイトハウスに悲報がもたらされたのは、1986年1月28日の朝だった。スペースシャトル「チャレンジャー」の爆発事故である。レーガン米大統領とスタッフは、その日の夜に議会で行う一般教書演説の打ち合わ…

  •  早くに妻を亡くした人形作家のハルさんの一人娘、ふうちゃんが、結婚式を挙げる。式場に向かうハルさんは、娘が成長の過程で遭遇したいくつもの事件を思い出す。

  •  南部アフリカのアンゴラでは、1975年の独立以来、27年間も内戦が続いた末にようやく終息した。かくも長引いたのは、政府、反政府勢力がそれぞれ、豊富な石油、ダイヤモンドの利権を押さえていたからだ。両勢…

  •  さあ、北海道へ行こう。という気分が、今ひとつ出てこない。昨年の北海道胆振東部地震の影響で落ち込んだ観光産業を支援しようと、観光庁が音頭をとっている「元気です北海道」キャンペーンも絶賛開催中なのだが、…

  •  明治生まれの詩人、坂村真民に『二度とない人生だから』という情味豊かな一編がある。一輪の花に愛を注ごう、一匹の虫も踏まぬよう心しよう-と誓った詩はこう続く。〈一ぺんでも多く/便りをしよう/返事はかなら…

  •  日教組の今年の教育研究全国集会が1日、北九州市で始まった。集会で岡島真砂樹委員長は強調したという。「憲法、平和と民主主義、そして教育の危機がさらに緊迫度を増している」。旧態依然、時代錯誤、頑迷固陋(…

  •  「節分には必ずお化けが出た」と直木賞作家の松井今朝子(けさこ)さんはいう。生家である京都・祇園町の日本料理店に訪ねてくる、仮装した芸妓(げいこ)さんや舞妓(まいこ)さんを指す。豆まき同様に、冬から春…

  •  「この道ひとすじなんて言葉は絶滅しちゃったんだなあ。橋本治ってヒトを見てるとつくづく思う」。35年前のインタビュー記事は、軽い調子の書き出しである。

  •  『罵詈(ばり)雑言辞典』を編集した奥山益朗(ますろう)さんは、前書きでぼやいている。「日本語は実に罵言の貧困な言葉だ」「ことに東京を中心とした共通語には、ロクな罵語がない」。

  •  作家の故水上勉は、9歳のときに京都の寺に預けられた。やがて寺を飛び出し、42歳で直木賞を受賞して流行作家になるまで、職を転々とする。薬の行商、役所勤め、中国での苦力(クーリー)監督、代用教員など、そ…

  •  「テニスでは、あと一本で勝つという時が難しい。人間って必ず欲、煩悩が出るから。何がなんでも勝ちたいという気持ちが出てしまう。それを『待ってました!』とばかりに相手に見取られてしまう」。

  •  ロシアのプーチン大統領は隠れもない柔道の達者である。総本山の講道館(東京都文京区)をこれまで何度か訪ねており、平成12年には六段と紅白帯を贈られてもいる。同僚記者が昨年、講道館に問い合わせた。「その…

  •  戦後日本文学界を代表する作家、三島由紀夫は漫画好きだった。「私は自分の小学生の娘や息子と、少年週刊誌を奪ひ合つて読むやうになつた」(『劇画における若者論』)。ちばてつやさんの『あしたのジョー』の続き…

  •  『半七捕物帳』の作者、岡本綺堂が若い頃の東京には、まだ江戸の情緒が残っていた。インフルエンザが猛威を振るった明治23年から翌年にかけて、江戸時代に流行(はや)った「お染風」の呼び方が復活する。

  •  驚いたことに40年以上も前に刊行された本が、昨年12月から新装版として書店に並んでいる。故山本七平さんの『「空気」の研究』(文春文庫)である。山本さんは、日本社会を「大きな絶対権をもった妖怪」である…

  •  「情熱の歌人」と呼ばれた与謝野晶子は明治45年、シベリア鉄道で一人パリに向かった。前年に渡欧した夫の寛の後を追ったのだ。

  •  映画は、学生たちが大使館に押し入り、多数の外交官を人質にする場面で始まる。1979年11月にイスラム革命後のイランで起きた、米大使館占拠事件である。実は6人の職員が裏口から脱出して、カナダ大使公邸に…

  •  流れ星はかつて、夜這星(よばいぼし)と呼ばれていた。清少納言も『枕草子』のなかで、「よばひぼしすこしをかし。尾だになからましかば、まいて」と書いている。「流れ星も興味深い。尾がなければもっといいのに…

  •  冬木立の下を歩くと、ふと気付くことがある。裸の枝が織りなす網の目を透かし、仰ぎ見る空は思いのほか青い。揚げ損ねの洋凧(ようだこ)を召し捕ったサクラの枝は、すでに新たな季節の予感をふくらみの中に宿して…

  •  「北と南が手を握って日本の罪悪を暴き…」。北朝鮮の李種革(リ・ジョンヒョク)・朝鮮アジア太平洋平和委員会副委員長は昨年11月、韓国での国際シンポジウムでこう訴えた。韓国最高裁がいわゆる徴用工訴訟で、…

  •  「結婚は簡単だが、離婚は難しい」。英国のチャールズ皇太子とダイアナ妃が繰り広げた泥沼の離婚劇は、この言葉をまざまざと思い出させてくれた。二人の間には、結婚当初からすきま風が吹いていたらしい。

  •  現在なら、監督失格である。「肩が痛い」と訴えても、「たるんどる」の一言ですまされた。今年の野球殿堂入りを果たした権藤博さん(80)は歯を食いしばって、来る日も来る日もマウンドに上がり続けた。

  •  昨日の全豪オープンテニス男子1回戦、錦織圭選手は2セットダウンからの逆転勝ちだった。12日に82歳で亡くなった女優の市原悦子さんは著書で、そんな錦織選手に苦言を呈している。「もっと余裕をもって勝たな…

  •  ソルトレークシティー五輪の招致をめぐる買収スキャンダルを地元テレビがすっぱ抜いたのは、1998年の暮れだった。国際オリンピック委員会(IOC)の委員10人が、追放あるいは辞任に追い込まれる事態に発展…

  •  本紙で新たに連載が始まった「日本人の心」の武将、楠木正成は数え16歳で元服した。12歳で初陣の正成にしては遅かったとか。時は流れ、現代の若者は7割以上が成人式は「20歳で」と希望している。

  •  休日の昼下がりに、父と兄と妹が3人でテレビを見ている。「お父さんとお兄ちゃんは、あんまし話さないけど…」。妹のナレーションにやおら立ち上がった父は、左腕から右腕、あごの順に自分の体をなでていく。野球…

  •  ふと「盗人(ぬすっと)猛々(たけだけ)しい」という言葉は、韓国にもあるのだろうかと気になった。調べると「賊反荷杖(チョクバンハジャン)」がそれに当たるという。泥棒が逆ギレし、あべこべに鞭(むち)を振…

  •  テレビの旅番組が花盛りである。タレントがどこかの国に出かけて美しい風景を紹介し、珍しい料理に舌鼓を打つ。あらかじめ現地のコーディネーターが決めたスケジュールに沿って、撮影は進む。

  •  幼い頃の思い出として多くの人が肩車を挙げる。詩人の長田弘さんもその一人だった。「わたしは巨人だ。ちっちゃな巨人だ。わたしの見ているものはほかの誰にも見えないものだ」。「肩車」という詩に、父親の肩の上…

  •  「フランスという国がどれほど日本に知られていないか、ご想像以上なのです…日本にはフランス文学についての本すらありません」。著名な作家でもあった駐日フランス大使、ポール・クローデルが本国にあてた書簡で…

  •  パリで車を止めたところは、駐車禁止の場所だった。たちまち警官がやってきて怒鳴り出す。ところが、今日これから日本に帰るところだと説明すると、態度は一変する。「パリは気に入りましたか」とニコニコと話しか…

  •  ソニーの創業者、井深大(まさる)さんは、幼児教育の研究者としても知られていた。著書の『幼稚園では遅すぎる』に、親友だったホンダの創業者、本田宗一郎さんから聞いた幼い頃のエピソードを記している。

  •  国民に高い人気を誇る日本のマラソン界にも、夜明け前の時代はあった。日本が初参加した1912年ストックホルム五輪にこぼれ話がある。マラソン代表に選ばれた選手が辞退を願い出た。「荷が重過ぎる」と。

  •  日本の近隣国は、正式な国交のない台湾を除き、困った国ばかりである。中国は尖閣諸島(沖縄県石垣市)への領土的野心を隠さず、軍事的・経済的膨張主義をとっている。ただ、世界第2位の経済大国であり、米国と並…

  •  「中二病」という言葉がある。中学2年生ぐらいの男子が、自意識にめざめて反抗的になったり、背伸びして大きなことを言い出したりする症状を指す。

  •  歌舞伎の六代目菊五郎は、大の相撲好きだった。昭和14(1939)年1月15日、双葉山の連勝が69で止まった「世紀の番狂わせ」も、マス席から見ている。悲鳴と怒号、座布団が飛び交うなか、ただ一人顔色一つ…

  •  慶応4(1868)年の元日の江戸は快晴だったらしい。まもなく鳥羽、伏見で旧幕府軍と新政府軍の戦闘が始まる。7月には江戸が東京と改称され、9月には明治と改元、つまりこの年は明治元年となる。

  •  師走の週末。15分の休憩時間が終わり、コンサート第2部の幕が開こうかというそのとき、演者も現れていないのに、2階席で拍手が鳴り響いた。何事かと振り向くと、美智子皇后陛下がおいでになったのである。

  •  『徒然草』の吉田兼好に筆のしくじり話がある。雪の降る朝、知人に用件のみをしたため手紙を出したところ、返事が来た。雪に一言も触れぬ、ひねくれ者の言うことを聞けましょうか。「口をしき御心(みこころ)なり…

  •  「仮想敵国は日本だ」。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の師匠にあたる故・盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領はブッシュ米政権のラムズフェルド国防長官と初会談した際、こう言い放った。今年2月の小欄でも紹…

  •  「私は一本のロウソクをとりあげて、皆さんに、その物質としての身の上話をいたしたいと思います」。『ロウソクの科学』(KADOKAWA)は、こんな書き出しで始まる。

  •  夏目漱石の名刺を見たことがある。本名の夏目金之助の他、余計なものは何もない。明治44年に文部省から文学博士号を授与されても、躊躇(ちゅうちょ)なく辞退している。「たゞの夏目なにがしで暮したい希望を持…

  •  「クジラのコロ(皮)のおでんを、いつか安価で楽しめる日を待ち望むばかりである」。国際捕鯨委員会(IWC)からの脱退について、期待を込めたコラムを先週書いたら、お叱りの手紙をいただいた。「捕鯨問題がわ…

  •  長い歴史を持つクリスマスは、20世紀に入って大きく変容する。「何であろうとそのとき世界で起こっている悪いことをクリスマスにはいったん休止して、平和と博愛の時間を過ごそう」。そんな考え方が生まれて、第…

  •  有馬記念も終わり、今年も残り1週間となった。といってもきょうお伝えしたいのは「競馬必勝法」でなく写真の撮り方だ。読者にはプロ級の写真愛好家もいると思うので釈迦(しゃか)に説法なのはお許しいただきたい…

  •  トルコの民話に、稲を植える賢者が通りすがりの人にからかわれる話がある。「稲が実る頃には、お前の体が弱っているだろう」。賢者は笑った。「いや、子孫のためさ。先祖が私のために植えてくれたように」。

  •  小学校の給食で供されたクジラの竜田揚げは硬くてなかなかかみ切れず、不人気メニューだった。大学時代、仲間と一杯やる際は、クジラベーコンが定番のつまみだった。何しろ安かったし、近所のコンビニでもパック入…

  •  今年もっとも印象に残った「迷言」といえば、これにとどめを刺す。「女子の方がコミュニケーション能力が高く、男子を救う必要がある」。東京医科大の不正入試問題をきっかけに、他の大学の医学部入試でも、女子や…

  •  世界で初めて航空母艦(空母)を新造したのは、日本だった。「鳳翔(ほうしょう)」と名付けられ、大正11(1922)年に完成している。第二次大戦中も日本は、米国に次ぐ「空母大国」だった。

  •  「●(からだ)の上に大きな消しゴムが乗っかっている」。向田邦子さんのエッセー『消しゴム』は、奇抜な書き出しで一気に読者の心をつかむ。消しゴムの正体は、後半になって明かされる。

  •  三菱財閥の創始者、岩崎弥太郎の孫にあたる沢田美喜さんが、神奈川県大磯町にエリザベス・サンダース・ホームを開いたのは、昭和23年2月である。進駐軍の兵士と日本人女性との間に生まれた孤児を救うためだ。

  •  明治日本の軍事費の割合は、戦争をしていない時でも、歳出の30%近くを占めていた。だからといって、国民が重税にあえいだわけではない。では、軍事費を何でまかなったのか。

  •  米国暮らしの長かった絵本作家の八島太郎さんに、人柄のにじむ挿話がある。久々の帰国で〈飛び出すな車は急に止まれない〉の交通標語を目にし、「話が逆だ」とこき下ろした。「〈飛び出すぞ子供は急に止まれない〉…

  •  駆け出し記者だった30年近く前、初めて暮らす東北地方の初任地で、このようなポスターを見て驚いた。「奥羽越列藩同盟百○×周年記念シンポジウム」。小欄にとっては歴史のかなたの出来事が、ここではまだ生々し…

  •  ロンドン特派員時代、北アイルランドに出張すると近所の住民に伝えるたびに、真顔で心配してくれたものだ。「あんな危ない所へ行って大丈夫?」。

  •  「中国国民に対する重大な人権侵害行為である」。カナダ当局が中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の副会長を拘束した件について、在カナダ中国大使館が出した声明である。「どの面(つら)下げて」。いさ…

  •  「現金3億円、輸送車ごと奪われる」「白バイ装い待ち伏せ」「ギャング映画ばり」。昭和43(1968)年12月10日の小紙夕刊は、こんな見出しで、3億円事件の発生を伝えた。以来、各紙の社会面は前代未聞の…

  •  日本の女子フィギュアスケートの歴史を遡(さかのぼ)れば、稲田悦子さんに行き着く。1936年に行われたガルミッシュパルテンキルヘン(ドイツ)冬季五輪に、日本女子として初めて出場した。

  •  203連勝で引退した柔道家、山下泰裕氏の最後の試合は、主審も陰の主役だった。斉藤仁氏と争った昭和60年の全日本選手権決勝である。中盤、強引に技を掛ける山下に、斉藤は返し技の投げで応じた。両者は崩れ落…

  •  7日付小紙正論欄で、東大名誉教授の平川祐弘(すけひろ)さんが回想していた。「日本が米英と西太平洋で交戦状態にはいったその日から戦争は『大東亜戦争』と呼ばれ、敗戦後は『太平洋戦争』となった」。平川さん…

  •  「あなたは監視されている」。全国一の繁華街といえる東京・歌舞伎町では、平成14年に防犯カメラが導入された。朝日新聞は、それを伝える記事に冒頭の見出しをつけた。「善良な市民の平穏まで害するおそれがある…

  •  「外国人からみて日本の民主主義は絶滅寸前だ」。今年3月のネットニュースにこんな見出しの記事が掲載されていた。森友スキャンダルでは、首相官邸と国会周辺で小規模のデモが起こっただけ。

  •  米の横流しの罪で死刑を言い渡された父親を救うため、自分たちきょうだいが身代わりになる。16歳の「いち」は奉行にそう申し出た。奉行は、いちの最後の言葉にたじろいだ。

  •  昭和と平成の境目のころから、新聞記者の生活は大きく変わった。それまでは取材に出てしまえば、会社に連絡しないかぎり、行動の自由があった。

  •  首相官邸で開かれていた宮沢喜一首相主催の夕食会は、騒然となった。平成4年1月、訪日中のブッシュ米大統領が、食べた物をもどし、いすから崩れ落ちた。

  •  トランプ米大統領はスマートフォンを3台持っているという。全て「iPhone」で2台は機密保全に穴のない公用である。大統領はしかし、無防備な私用の1台で人と話すのをやめない。会話が中国に盗聴されている…

  •  内閣官房参与の飯島勲さんが、週刊文春11月29日号に寄せたコラムが話題になっている。元朝鮮人労働者をめぐる訴訟で、韓国最高裁が日本企業に賠償を命じる確定判決を出した問題について、こう断じているのだ。…

  •  女優の赤木春恵さんは、終戦を旧満州のハルビンで迎えた。半年前から兄が現地で設立した劇団に参加して、各地を巡業していた。兄が召集されてからは、20歳にして座長を務めていた。

  •  「フランケンシュタイン」というと、顔にギザギザの傷痕が走り、首にボルトが突き刺さった怪物を思い浮かべる人もいるだろう。実は怪物には名前がない。

  •  「いやや~、手、はなしたらこわい~!」。必死で叫んでも、おとうちゃんは容赦がない。「すまこっ、やる気を出さんと、なにもできん」「いけっ!」。銅版画家の安井寿磨子さんが、初めて補助輪なしで自転車に乗れ…

  •  「日本には選挙があって大変ですね」「25年間に11回選挙をしました」。1972年9月、田中角栄首相が日中国交回復のために訪中した際、毛沢東主席との間で、こんなやりとりがあったそうだ。

  •  「馬券が必ず当たる」競馬の法則などあるはずはないが、「馬を知らなくてもよく当たる」買い方はある。お世話になっている読者のみなさんにだけそっとお知らせすると、賞金の高いレースは、外国人騎手が乗る馬を軸…

  •  大阪在住の方々には聞き捨てならない言葉だろう。カナダ生まれの社会情報学者、マクルーハンが言っている。「万国博覧会は過去のもの」。どういうこっちゃねん-と青筋を立ててはいけない。およそ半世紀前、196…

  •  十人十色というが、それぞれの立ち位置が表れていて興味深い。韓国政府が慰安婦問題をめぐる日韓合意に基づき設立された財団の解散を発表したことについて、在京各紙は22日付の社説で一斉に取り上げていた。それ…

  •  ソウル近郊の龍仁(ヨンイン)市にある法輪寺(ポンリュンサ)(尼寺)の境内に縦に倒されたままの石碑がある。先の大戦で日本兵として戦死した、朝鮮人兵士の「帰郷祈念碑」である。韓国通の女優、黒田福美さんが…

  •  日産自動車の会長、カルロス・ゴーン容疑者(64)の逮捕には、謎が多い。その一つが時期である。なぜ、今週の初めだったのか。有価証券報告書への報酬減額の記載や不正な経費支出などは、数年前から行われてきた…

  •  昨日に続いて、番付について書く。何より江戸の庶民の関心を引いたのは、当時の金持ちのランキング、いわゆる長者番付であろう。たとえば「新板大江戸持○長者鑑」と題した番付は、170人の富豪を紹介している。

  •  北海道函館市が1位で、2位は京都市、3位は札幌市。民間シンクタンク「ブランド総合研究所」が先月発表した2018年の市区町村別の魅力度アンケートの結果である。

  •  旧東ドイツの警備隊員、コンラート・シューマンさんは同僚の兵士から、東西ドイツを隔てるベルリンの壁の建設が始まった、と聞かされた。1961年8月時点では、まだ有刺鉄線しかない。シューマンさんは、脱出を…

  •  教授の元に教え子から便りが届いた。「先生 お元気ですか/我が家の姉もそろそろ色づいてまいりました」。艶っぽい話である。いや、そうではないらしい。〈手紙を受けとった教授は/柿の書き間違いと気づくまで何…

  •  中国はさぞや困っていることだろう。「南シナ海における中国による軍事拠点化と領域拡張は不法で危険だ」。米国のペンス副大統領は15日、シンガポールでの東アジアサミットで、中国を名指しで糾弾した。ペンス氏…

  •  東京都文京区にある故鳩山一郎元首相の邸宅は現在、「鳩山会館」として一般公開されている。庭園の一角には、ソ連との国交回復を実現した一郎氏の銅像が立っている。平成19年2月にロシアのフラトコフ首相が来日…

  •  「日本の文化は米づくりのうえにきずかれ、山や川の自然も、農民により、米づくりを通して守り育てられてきたのでした」。評論家の富山(とみやま)和子さんは、『お米は生きている』(講談社)の後書きに書いてい…

  •  道端で腰掛けて休んでいると、知らない人が話しかけてきた。「自宅は分かりますか?」。ご親切には感謝するけれど「心境は複雑」と、81歳の男性は記す。お米を研いだり、茶碗(ちゃわん)を洗ったり、70歳の夫…

  •  「生き腐れ」という言葉があるほど、サバは傷みが早い。とはいえ冷蔵庫がない時代でも、京都の庶民は若狭湾で取れたサバを堪能できた。「鯖街道」のおかげである。

  •  仕事柄、金がもたらす不和を数多く見てきた。幸いにも、友人知己との間で大きな金を貸し借りしたことはないが、明日はわが身と備えるに越したことはない。心の構えようとしては、作家の菊池寛が参考になる。

  •  「最終的には国民が判断することで、今の状況は国会の怠慢」。日本維新の会の馬場伸幸幹事長は6日の記者会見で、今国会でまだ一度も開催されずにいる衆参両院の憲法審査会について嘆いた。立憲民主党などは、開催…

  •  埼玉県川口市といえば、映画「キューポラのある街」を思い出す。かつての鋳物の街は近年、ベッドタウンとして発展してきた。約3万人の外国人が暮らす街としても知られる。全国でも、東京都新宿区、江戸川区に次い…

  •  咸臨丸が米西海岸に到着したのは、安政7(1860)年3月である。サンフランシスコに上陸した福沢諭吉にとって、見るもの聞くもの全てが新鮮だった。

  •  マツタケ料理のひとつに土瓶蒸しがある。作家の幸田露伴は、ウナギの蒲(かば)焼きとの組み合わせを好んだ。「二ツ裂きにしたくらゐの大きな茸を入れ、その上からたれを清酒で薄めてそゝぎかけ、蓋をして火にかけ…

  •  日本から約7千キロ離れた南太平洋のニューカレドニアといえば、まず「天国にいちばん近い島」という言葉が思い浮かぶ。森村桂(かつら)さんが昭和41(1966)年に刊行し、200万部のベストセラーとなった…

  •  「先祖の話ができる人はうらやましい」と先月のコラムで書いた。突然の訃報が届いた江波杏子さんもその一人である。江戸・千駄ケ谷の植木屋平五郎は、新選組の沖田総司をかくまい、最期をみとった人物として、新選…

  •  禅僧で歌人の天田愚庵は正岡子規に短歌の開拓を促した人として知られる。ある年の秋、庭になる柿を病身の子規に送った。待てど返事がない。愚庵は気遣う歌を子規に宛てた。〈正岡(まさをか)は真幸(まさき)くて…

  •  韓国側が、どんな点に関して気をもんでいるかが分かる。元徴用工をめぐる訴訟で、韓国最高裁が日本企業に賠償を命じる確定判決を出した問題で、韓国紙・中央日報日本語版は1日、同日の衆院予算委員会における安倍…

  •  8代将軍徳川吉宗によって江戸町奉行に登用された大岡越前守忠相(ただすけ)といえば、名裁判官として名高い。「大岡裁き」の数々は、講談をはじめ、映画、ドラマでおなじみである。

  •  「いつの間にか日本は実質的に世界第4位の『移民大国』になっていた」。昨日の小紙談話室の投書から引いた。疑問を抱く読者がいたはずだ。安倍晋三首相は、「移民政策を取らない」と断言しているではないか、と。

  •  新たな国難が降りかかってきた。韓国最高裁が昨日、新日鉄住金(旧新日本製鉄)相手に韓国人4人が起こした訴訟で、新日鉄住金敗訴の判決を下した。

  •  日本からブラジルへの移民は、110年前に始まった。コーヒー農園での重労働に耐えかねて、都会に逃げ出す人も少なくなかった。彼らの多くがクリーニング店の商売を選んだ。ポルトガル語を話す必要がなく、日本人…

  •  東京での「ハロウィーン」は、どうやら10月の最終土曜日に決まったらしい。この夜は、善男善女が魔女やらお化けやらに仮装して渋谷に繰り出し、トラックをひっくり返したり、女性に抱きついたりと乱暴狼藉(ろう…

  •  国語学者の大野晋さんが約20年前に出した『日本語練習帳』にこうあった。新聞や雑誌に使われる単語の数は年間およそ3万語とされる。その5、6割は1度しか使われない。「つまり、半分の単語は…一年に二度とお…

  •  「いったい僕は、なぜこうみんなにいやがられるのだろう」。宮沢賢治は『よだかの星』で、見栄えが良くないと鳥仲間にばかにされ、いじめられるヨダカに、こんな悲しい独白をさせている。「僕は今まで、なんにも悪…

  •  上海の浦東国際空港は、1999年10月に開港した。日本の円借款から、400億円が拠出されている。翌年に空港を訪れたフリージャーナリストの青木直人さんは、中国人数十人に円借款について聞いてみた。

  •  3年以上にもわたった監禁生活は筆舌に尽くし難い苦痛の連続だったろう。内戦が続くシリアで武装組織に拘束されていた、フリージャーナリスト安田純平さん(44)が解放された。帰国して元気な姿を見せてほしい。

  •  日本の人口の増減がわかるのは、江戸時代の後半からである。8代将軍吉宗が、1721年から調査を命じたからだ。科学史家の板倉聖宣(きよのぶ)さんによると、当時を境にして日本全国の人口は、減少に転じる。そ…

  •  1961年の夏、米ワシントン州の小さな島からボートをこぎ出し、日がな一日寝転んでいる日本人がいた。海に群れをなすオワンクラゲから、どうやって発光物質を取り出すか、考え続けていた。1週間たって、ある方…

  •  2015年に第2次探検隊として水星に降り立った2人の宇宙飛行士は、たちまちトラブルに巻き込まれる。太陽熱から身を守るために必要な物質を取りに行ったロボットが、戻ってこない。10年前に第1次探検隊が残…