産経抄産経抄 記事一覧会員向け記事

  •  普段は週刊誌記事をネタに、政府・与党の醜聞を追及するだけの簡単なお仕事にみえるが、どうして立憲民主党の議員を務めるのも難儀そうである。枝野幸男代表は朝日新聞の13日付記事(インターネット版)で、12…

  •  「アフガニスタンに行ってきましたね」。名探偵シャーロック・ホームズは、後にコンビを組むワトソン博士の正体を初対面で見抜く。種明かしはこうだ。医者でありながら、軍人っぽい。左腕を負傷し、やつれた顔をし…

  •  門井慶喜さんの歴史小説『家康、江戸を建てる』に、こんな場面がある。天下を手中に収めた徳川家康は慶長11(1606)年、江戸城の大幅な拡張工事に取り掛かる。監督を命じられたのは、築城の名手として知られ…

  •  遠洋マグロ漁船の「第五福竜丸」が太平洋のビキニ環礁近くで米国の水爆実験に遭遇したのは、昭和29年3月だった。乗組員全員が死の灰を浴びて被曝(ひばく)する。

  •  今年のマスターズ・トーナメントには、「名誉スターター」として3人が招待されていた。往年の名手、ジャック・ニクラウスさんとゲーリー・プレーヤーさん、そしてリー・エルダーさんである。86歳のエルダーさん…

  •  見た目が特異な魚ゆえに伝承は多い。漁港に持ち帰れば「祟(たた)りあり」とされ、この魚の泳ぐところに「カツオの群れあり」とも言われた。侵すべからざる魚かといえば、そうでもない。肝油は「飲めば胃薬、塗れ…

  •  公明党は、勘違いしてはいないか。このままでは、高らかに掲げてきた「平和の党」「人権の党」の看板を、遠からず下ろさずばなるまい。台湾や南シナ海、尖閣諸島(沖縄県石垣市)への領土的野心を隠さず、ウイグル…

  •  韓国の首都ソウルと第2の都市・釜山の市長選は、予想通り左派の与党候補が惨敗した。そもそも2つの市長選は、ともにセクハラ問題が発覚した与党系市長の自殺や辞任に伴う補欠選挙である。与党はもともと、不利な…

  •  日本一有名なサラリーマンといえる島耕作は、課長からどんどん出世して、社長にまでなった。漫画誌で連載中のタイトルは「相談役 島耕作」である。最近、新型コロナウイルスに感染した姿が描かれて話題になった。

  •  「女の立場から書く」「殺人事件は扱わない」「締め切りは守る」。脚本家の橋田壽賀子さんが、自らに課した仕事のルールである。ただ、一度だけ破ってしまった。石井ふく子プロデューサーからの催促の電話に、橋田…

  •  2009年の第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。イチロー選手は極度の打撃不振に苦しんでいた。準決勝までの8試合の打率は2割をわずかに超える程度である。とはいえ、やはり主役の座は譲らな…

  •  格闘技ファンとして知られる野田佳彦元首相は小学生の時、沢村忠さんに握手してもらったそうだ。沢村さんは昭和40年代、空前のキックボクシングブームを牽引(けんいん)していた。

  •  明治期の文学作品に触れて驚くのは、日本語の旺盛な食欲である。例えば尾崎紅葉の『金色夜叉』は、作家が海外の文明から何を吸収したかが分かる。第1章のせりふから。「まあ、あの指環(ゆびわ)は! ちょいと、…

  •  選択的夫婦別姓をめぐり自民党は2日、その在り方を検討する作業チーム初会合を開いた。党内は推進派と慎重派がせめぎ合っており、この日も賛否双方の意見が拮抗(きっこう)したという。諸政策を議論するのは大い…

  •  次の航空便はいつ届くのか。新型コロナウイルスワクチンの供給を今のところ海外に頼るしかない日本では、やきもきする日が続く。もっとも台湾の苦労に比べたら、なんのことはない。矢板明夫特派員によれば、欧米製…

  •  厚生労働省という役所は、一体どうなっているのか。職場におけるハラスメントの防止に取り組んできたはずだ。その厚労省で、「死ねっつったら死ぬのか」などと部下に暴言を吐いた上司が、懲戒処分を受けていた。部…

  •  ジェノサイド(民族大量虐殺)は、ポーランド系ユダヤ人の弁護士、ラファエル・レムキンによる造語である。ギリシャ語の「genos」(部族ないし人種)とラテン語の「cide」(殺人)を組み合わせた。

  •  英国の名門校を卒業した青年は大学には進まず、植民地ビルマ(現ミャンマー)で警察官となる。後にジョージ・オーウェルの筆名で近未来小説『一九八四年』などの作品を世に送り出し、独裁的な監視国家の出現を警告…

  •  週末、のんびりと流行のリモートワークをしていると(といっても競馬中継を横目に見ながらだが)、携帯電話の着信音が鳴った。電話番号を見ると無視するとうるさい知人からだった。仕方なく出ると「いやぁ、本当に…

  •  記者としての初任地は四国だった。発令日の前夜、大阪での研修を終えて支局長に電話を入れた。明日の昼前には着きます-。言い終わらぬうちに、怒鳴り声が返ってきた。「違う、違う。出勤は9時だろう。君の職場は…

  •  「中国共産党は、民主主義に挑戦しているのだと思う」。この言葉は2008年6月、日本ウイグル協会の初代会長に就任する5日前の在日ウイグル人、イリハム・マハムティ氏(現名誉会長)が抄子に語った言葉である…

  •  ♪異人さんに つれられて 行っちゃった 詩人の野口雨情が作詞した「赤い靴」(本居長世作曲)は、ちょうど100年前、童謡雑誌で発表された。モデルの女の子をめぐっては、いくつかの説がある。その一つが実は…

  •  「地獄の底をフラフラ歩いているような感覚である」。「平成の三四郎」と称された古賀稔彦(としひこ)さんが、自伝で振り返る。1992年のバルセロナ五輪男子柔道71キロ級の決勝戦。審判の判定を待っていた。

  •  ロシア人弁護士のセルゲイ・マグニツキー氏は、当局による巨額の税金横領を告発した後、不当に逮捕されて37歳の若さで獄死する。3年後の2012年に米議会が可決したのが「マグニツキー法」である。事件に関与…

  •  アンネナプキンは高度成長の最中の昭和36年に売り出された。発売1日目で問屋入荷分の9割が売れてしまう。女性の社会進出を支えた「生理用ナプキン」の歴史はこの時から始まった(『月経をアンネと呼んだ頃』田…

  •  銀行内を見学すると、行員たちはおしゃべりをしているか、居眠りをしているかのどちらかである。監督者に空席が多い理由を聞くと「朝は出勤していましたが、どうしたんでしょう」。金庫をのぞけば、銀行券のストッ…

  •  わが国では、球体を「たま」と呼び、神仏には饅頭(まんじゅう)や団子といった丸い物を供える。人の魂は球のような形をしていると、先祖が考えていたからではないか-。仏教学者で東北福祉大学長の千葉公慈さんが…

  •  書籍のジャンルに「人生で大切(必要)なことは、みんな〇〇から学んだ」というものがある。「〇〇」の中身は「砂場」でも「映画」でも「ハンバーガー店」でも「登山」でもいい。それぞれ夢中になった何かや身近な…

  •  東京五輪・パラリンピックの式典に出演予定だった女性タレントの容姿を侮辱する。式典を統括するディレクターが、LINE(ライン)上で吐いたとんでもない暴言を週刊文春がすっぱ抜いた。

  •  昨日の札幌地裁の判決には驚いた。国が同性婚を認めていないのは、憲法に違反するというのだ。原告は、男性カップル2組と女性カップル1組である。3組は平成31年1月に婚姻届を提出したが、不適法として受理さ…

  •  横綱は大関以下と違って、引退しない限り地位は安泰である。もっとも「横綱降格」が論議されたことはある。昭和25年の1月場所、羽黒山、東富士、照国の3横綱がそろって途中休場した。事態を重くみた日本相撲協…

  •  「花疲れ」という言葉がある。花見に出かけて、人混みに酔ってしまう。あるいは花見酒を飲みすぎる。あれやこれやで、くたびれはてた状態をいう。

  •  東京やその近辺で育った人が、関西に来て首をひねるのが「けーへん、きーひん、こーへん」だという。「なんぼ待ってもけーへん(いくら待っても来ない)」。大阪周辺にお住まいの方なら、耳に口になじんだ表現だろ…

  •  自身がかつて組織のトップの座にありながら手を付けないか、できもしなかったことを後任者に無理強いする。控えめに述べて無責任極まる光景が、3人の元首相によって展開された。東日本大震災とそれに伴う東電福島…

  •  日本を含む111カ国で放映され、2億人近くが視聴したという。1995年11月に行われた英王室のダイアナ皇太子妃のテレビインタビューである。自らの不倫を告白する衝撃的な内容だった。

  •  作家の故吉村昭さんに『梅の蕾(つぼみ)』という短編小説がある。岩手県の三陸海岸にある田野畑村に赴任した医師と夫人、そして夫婦を無医村に呼んだ村長の物語である。村人たちと山野を歩くのを好んだ夫人は、4…

  •  世界で一番高価な液体は、プリンターのインクだ、と聞いたことがある。かつてフランスの首相クレマンソーは「石油は血の一滴」という言葉を生んだ。第一次世界大戦中ドイツの猛攻のなか、米国大統領ウィルソンに電…

  •  故高倉健さんの遺作となった映画「あなたへ」での役は、刑務所の指導技官だった。受刑者に木工を教えて、社会復帰の手助けをする。ロケ地となった富山市の富山刑務所では上映会が行われた。「あなたにとって大切な…

  •  「5月末までに米国の全成人に行き渡らせるワクチンを確保する」。バイデン米大統領は先週、新型コロナウイルス対策についてこう述べた。今のところワクチンを輸入に頼らざるを得ない日本はどうだろう。

  •  小学生のグループに問題を出した。次の掛け算の答えを予測してください。

  •  幼い頃から、なぜか強者や正義の味方に反発を覚えていた。少年時代に熱中した仮面ライダーでは怪人を、ウルトラマンでは怪獣を応援した。悪役にだってそう生きざるを得なかった理由や、言い分はあるだろうにと。子…

  •  今月1日に107歳の大往生を遂げた篠田桃紅(とうこう)さんは、5歳で父から書の手ほどきを受けた。ただ、お手本をなぞって書いていても飽き足りない。たとえば、縦線を3本引く川という字でも、線を4本も5本…

  •  昨年97歳で亡くなった台湾元総統の李登輝氏は、平成28年に沖縄県石垣島を訪れている。石垣島と台湾はわずか250キロしか離れていない。沖縄本島より近いとあって、歴史的に結びつきが強かった。

  •  「民間銀行との会合から帰ろうとしたら雨が降ってきた。そのとき、相手から傘を借りるのは、いいのか、悪いのか」。旧大蔵省で笑い話のような議論がなされたことがある。

  •  子供の前で夫婦げんかはするな。昔から子育ての常識だった。小児精神科医の友田明美さんによれば、夫婦間のいさかいを頻繁に目にした子供の脳は、深刻なダメージを受けることがわかっている。児童虐待防止法では、…

  •  二月は逃げる、とはよく言ったもので、はや弥生三月と相なった。今年は、東日本大震災からちょうど10年にあたる特別な月でもある。

  •  仏壇や茶筒の中など、誰もが思いつく場所はご法度という。じゅうたんの下や冷蔵庫もいけない。空き巣は床に近い位置から獲物を探す。「目より高い所に」とは防犯のプロが勧める、大事な物の隠し場所である。

  •  日本を代表する高級ブランド牛といえば、松阪牛が思い浮かぶ。ただ、松阪牛は品種名ではなく、全国各地で育った黒毛和種の子牛を三重県松阪市とその近郊で肥育したものを指す。ちなみに、松阪市のホームページによ…

  •  一昨年から昨年にかけて、オーストラリアで半年余り続いた森林火災は、すさまじい被害をもたらした。延焼面積は日本の約6割にあたる計2300万ヘクタールに及び、煙は、南米大陸にまで到達した。

  •  東京・上野の不忍池の弁天島に「真友の碑」と刻まれた石碑が立っている。昭和24年1月、UPI通信副社長のマイルス・ボーン氏と電通元社長の上田碩三氏が、東京湾でカモ猟の最中に遭難死した。

  •  俳人の黒田杏子(ももこ)さんは、俳誌「藍生(あおい)」を30年間主宰してきた。テレビの俳句番組でおなじみの夏井いつきさんも会員の一人である。黒田さんからお手紙をいただいた。

  •  『時刻表2万キロ』などの鉄道紀行で知られる作家の故宮脇俊三さんに『夢の山岳鉄道』という著作がある。夢のひとつに「富士山鉄道」を挙げていた。

  •  「いっそのこと島を譲ってしまったら、と夢想する」。韓国の不法占拠が続く島根県の竹島についての朝日新聞のコラムは、以前にも取り上げた。こんな一節もあった。「いくら威勢がよくても戦争できるわけでなく、島…

  •  「官庁の中の官庁」と呼ばれる大蔵省(現財務省)で、財政金融の「素人」を自任する政治家が蔵相になった。就任演説がいまに伝わる。「私が田中角栄だ。尋常小学校高等科卒業である」。昭和37年の夏だった。

  •  何はともあれ、東京五輪・パラリンピック組織委員会の新会長は、橋本聖子前五輪相で決着した。貧乏くじともされるかじ取りの難しい重職を引き受け、夏に向けて走り出す橋本氏には心から声援を送りたい。ところが1…

  •  「火中の栗を拾う」という成句は実はフランス生まれである。猿が猫をおだてて、いろりの中の栗を拾わせ、猫が大やけどを負う。17世紀の詩人ラ・フォンテーヌの寓話(ぐうわ)から「他人の利益のために非常な危険…

  •  永世棋聖で日本将棋連盟の会長も務めた故米長邦雄さんは小学校卒業後、内弟子に入って将棋に専念した。3人の兄は東大を卒業している。「兄貴3人は頭が悪いから東大に行った。自分は頭がいいから棋士になった」。…

  •  幕末から明治にかけて日本を訪れた多くの外国人は、当時の日本人が子供たちを慈しむ気風に感嘆の声を上げたものだ。大森貝塚を発見したことで知られる米国の動物学者、エドワード・モースもその一人である。

  •  中国・武漢で発生した新型コロナウイルスを小欄で最初に取り上げたのは、昨年1月22日である。その10日前にすでにワクチン開発が始まっていたとは。14日の日本経済新聞電子版のインタビュー記事で知った。

  •  江戸の儒学者、佐藤一斎は警句の名手としても名高い。その一つ。〈箴(しん)は鍼(しん)なり。心の鍼(はり)なり〉。先人の残した箴言(しんげん)は、心に施す鍼治療のようなものだ、と。続けて「よこしまな思…

  •  「男はとんかつだと思っている」。文芸評論家で慶大教授の福田和也さんは、週刊誌『サンデー毎日』の昨年12月6日号で説いていた。若い頃から大のとんかつ好きである福田さんは、「とんかつの食べ方で男の度量が…

  •  作家の司馬遼太郎さんは菜の花やタンポポなど野に咲く黄色い花が好きだった。2月12日はその花にちなんでつけられた命日の「菜の花忌」だ。平成8年に亡くなってから今年で、はや25年になる。

  •  開業時は「夢の超特急」と呼ばれていた東海道新幹線の構想は、昭和初期からあった。当時の鉄道省が進めていた「弾丸列車計画」である。東京-下関間を最高時速200キロで運転して、さらには海底トンネルで朝鮮半…

  •  美術の歴史は偽作の歴史でもあるらしい。なかでも日本は「偽作天国」といわれてきた。「残念ながら偽物です」。骨董(こっとう)品の鑑定番組ではしばしば出品者が、鑑定士の無情な判定にがっくりと肩を落とす姿が…

  •  英語圏でハクションとやると、周りの人から「ブレス・ユー」とか「ゴッド・ブレス・ユー」とか声がかかる。くしゃみをすれば、魂が抜けて悪魔が入り込むという言い伝えがある。そうならないように「神のご加護を」…

  •  2002年9月の第1回日朝首脳会談で、北朝鮮の金正日国防委員長は、長年否定していた日本人の拉致を初めて認めた。1カ月後には、拉致被害者5人が帰国を果たす。日本国内が騒然とするなか、東京の米国大使館で…

  •  よい取り合わせのたとえとして、「松に鶴」「牡丹(ぼたん)に蝶(ちょう)」などという。暦の上で春が立ち、各地から梅の便りが届き始めるこの時節は「梅に鶯(うぐいす)」も思い浮かぶ。〈うぐひすや梅にとまる…

  •  「正しさ」で厚化粧した集団いじめに立ち会ったかのようで、割り切れない。テレビをつけると、どの局も東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の女性に関する発言に対する批判ばかりが飛び込んでくる。各…

  •  <♪ウチら陽気なかしまし娘 誰が言ったか知らないが 女三人寄ったら 姦(かしま)しいとは愉快だね> 還暦を過ぎた年代なら、口ずさめる人が少なくないだろう。歌謡漫才で一世を風靡(ふうび)した「かしまし…

  •  1940年、英国上空で英空軍は独空軍と激しい空中戦を繰り広げ、撃退に成功する。「人類の対立の歴史において、いまだかつて、かくも多くがかくも少ない人間によって救われたことはなかった」。いわゆる「バトル…

  •  平成24年に95歳で亡くなった女優の山田五十鈴さんは長年、東京の都心にある帝国ホテルで暮らしていた。1人暮らしの山田さんは「意外に合理的なのです」と語っていた。

  •  昨年11月に実施されたミャンマーの総選挙では、日本政府が供与した特殊インクが大活躍した。投票した人の指に着色すると一定期間色落ちしない。これで二重投票を防げるというわけだ。

  •  テレワークと称して家でパソコンをいじっている間に2月になってしまった。去年の今ごろはといえば、中国・武漢発の新型コロナウイルスに感染した日本人はまだ少なく、自粛生活が年を越えて続くとは夢にも思わなか…

  •  若者と中年を分けるものは、年齢ではないという。嘆くのが若者、ぼやくのが中年。そんな説を以前、耳にしたことがある。〈出勤が運動だったと気付く腹〉。句の作者は脂の乗った「ぼやき組」とお見受けする。

  •  これは少々まずかろう。自民党の外交部会などが26日に開いた会合で、中国による新疆ウイグル自治区での少数民族弾圧について、外務省担当者はこんな見解を示した。「ジェノサイド(民族大量虐殺)と認めたわけで…

  •  旧ソ連時代の有名な小話である。赤の広場で酔っ払いが叫んだ。「ブレジネフの大ばか野郎!」。すぐに公安警察官がやってきて逮捕された。容疑は当時の書記長の「国家機密漏洩(ろうえい)」というのがオチである。

  •  かつて閣僚の一人が立ち小便しているところを写真に撮られ、写真週刊誌に掲載されたことがある。場所が国会構内とあって、大騒ぎになった。野党は「院の品位を汚す重大な問題」として追及したものだ。もっとも、庶…

  •  「朝焼け小焼けだ、大漁だ」。イワシといえば、まず詩人の金子みすゞが、イワシ漁を見ながら書いた「大漁」が思い浮かぶ。人間にとって、重要なタンパク源であるだけではない。魚類から鯨やイルカ、海鳥まで、様々…

  •  米ワシントン近郊にある国防総省(ペンタゴン)は、世界最大の官庁建築物とされる。規模でそれに次ぐのが、東欧ルーマニアの首都ブカレストの中心部に建つ「議事堂宮殿」である。

  •  日本教職員組合(日教組)の教育研究全国集会(教研集会)が週末23日に開かれた。例年3日間の日程が今年はネット上での1日開催となった。新型コロナウイルス禍でやむを得ないことだが、「平和教育」などをめぐ…

  •  いまは亡き落語家の桂歌丸さんがまだ二つ目の頃という。夜の番組のオーディションで落語以外の出し物を求められた。踊る者、歌う者、隠し芸を見せる者。最終演者の歌丸さんは困った。ほかと同じでは芸がない。

  •  「延々と事情を説明してくださいと言ってません」「総理はこの期に及んでもだらだら言い訳」。ともに立憲民主党の辻元清美副代表がかつて、安倍晋三前首相の国会答弁にぶつけた言葉だが、野党はその時代を懐かしむ…

  •  不倫を隠すための「偽証」などの罪でクリントン米大統領の罷免を求める弾劾裁判が行われていた時にこの人の名前を知った。仕立屋から政治家になった第17代大統領のアンドリュー・ジョンソンである。

  •  新型コロナウイルスの封じ込めに成功している台湾への称賛の声は高まるばかりである。同時に日本の統治下、児玉源太郎総督のもとで、民政長官として日本の衛生行政制度を導入した後藤新平の存在も改めて注目されて…

  •  韓国の文在寅大統領による年頭記者会見の発言には驚いた。日本政府に元慰安婦女性らへの賠償を命じた8日のソウル中央地裁判決について「困惑している」と語った。

  •  大学受験の不正といえば、カンニングや替え玉受験などさまざまな事例がこれまで報告されてきた。マスクを正しく着用していないことを理由とした失格とはまさに前代未聞である。

  •  小人たちが階段を上っていったはずが、なぜかもとの階に戻っている。迷路に入っていくと、いつのまにか天地が反対になっている。昭和43年に出した『ふしぎなえ』は、安野光雅さんの絵本作家としてのデビュー作と…

  •  仏文学者にして昆虫博士の奥本大三郎さんは子供の頃に何度も夜更かしを試みた。チョウの羽化を見届けるためだが、眠りの誘惑に勝てない。チョウは明け方に蛹(さなぎ)を抜け出し、少年が目覚める頃には飼育箱の中…

  •  日本が戦後、これほど国際社会の枠組み構築に積極的に関与し、大きな役割を果たしたことはあっただろうか。米ホワイトハウスが公開したトランプ政権のインド太平洋戦略に関する機密文書と、付随して出たオブライエ…

  •  北陸地方の記録的な大雪のニュースを見て、気になっていた。道路で立ち往生している車のタイヤにチェーンが装着されていない。昨日の社会面の記事で合点がいった。

  •  昭和史研究の第一人者である半藤一利(かずとし)さんの妻、末利子(まりこ)さんは文豪、夏目漱石の孫にあたる。戦時中、東京から新潟の長岡に疎開していた時、同級生の妹として知り合った。

  •  「雪は天から送られた手紙である」。この言葉で知られる物理学者の中谷(なかや)宇吉郎は、世界で初めて人工的に雪の結晶づくりに成功した功績で知られる。中谷は雪国での人々の暮らしにも無関心ではいられなかっ…

  •  月刊「文芸春秋」2月号では、「日韓厳冬」と題して識者による討論を掲載している。そのなかで、かつて外務省アジア局で韓国担当だった自民党の城内実(きうち・みのる)衆院議員が、現在の日韓関係をサッカーの試…

  •  同僚には学生時代に弁論部で活躍した猛者もいる。書くことと、大勢の前で話すこと、どちらが難しいか聞いてみた。答えはどちらも難しいが、難しさが異なるという。文章は読み返せるが、弁論は聞き返せない。端的に…

  •  卵からかえった雛(ひな)鳥は、初めて目にしたものを親として記憶する。それが親鳥でなく、人であっても。

  •  現在の政治、なかんずく野党のていたらくの反映ではないか。8日の日経新聞朝刊を開くと、7日の国会で行われた新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言再発令に関する政府と与野党の質疑は、取り上げられていなかっ…

  •  1860(万延元)年5月、幕府が海外に送った初めての使節は、米ワシントンに滞在していた。一行にとって見るもの聞くものすべてが驚きである。

  •  いよいよ緊急事態宣言が本日決定される。新型コロナウイルスの新たな感染者が東京都では昨日過去最多の1591人となった。宣言の対象地域となる首都圏の医療体制の逼迫(ひっぱく)を考えれば、やむを得ない措置…

  •  故三船敏郎さんは、戦後すぐに東宝撮影所の門をたたいたとき、カメラマン助手を希望していた。俳優になったのは手違いからだ。昨日訃報が届いた福本清三さんも、役者になる気はなかった。

  •  オーストラリア国歌の歌詞の一部が、今年1月1日から変わった。「我々は若く(young)て自由だ」から「我々は一つ(one)で自由だ」に改められた。

  •  正月休みは『目に見えぬ侵略』(飛鳥新社)を読み返していた。副題に「中国のオーストラリア支配計画」とある本書は、蜜月だった豪州と中国の関係が険悪となるきっかけにもなった。

  •  偏屈者の八五郎が新年の賀詞を述べにやって来た。減らず口をたたけば鬼も黙るという口達者に、家の主人が吹っ掛ける。「よく来た。フグを食おう」「食わぬ」。実は八五郎、毒にあたらないかとおびえている。

  •  「午前八時起床、直ニ身体ヲ清メ朝食ヲ畢(おわ)リテ後、家人ノ年賀ヲ受ク」。昭和5年1月1日、渋沢栄一が日記をこう書き始める。まもなく年賀の客がやって来る。午前11時には、自ら設立した第一銀行に向かう…

  •  歳時記をめくると、この時節は日記にまつわる季語が多く目に留まる。「古日記」や「日記果つ」には、行く年を惜しむ感傷がにじんで味わい深い。次の1冊が必要になるわけで、「日記買ふ」もまた季語である。

  •  『氷点』や『塩狩峠』などで知られる作家の三浦綾子さんは、77年の生涯のほとんどを出身地の北海道旭川市で過ごした。「旭川のよさは?」と聞かれるたびに、「骨までしみとおるような寒さ」と答えてきた。

  •  新型コロナウイルスの大流行に伴って、今年は感染症を扱った歴史書の増刷や復刊が相次いだ。『感染症の中国史』(飯島渉著、中公新書)もその一つである。

  •  競馬の有馬記念が終わると、一年が終わったような気がするのは抄子だけではあるまい(結果は聞かないでほしい)。それにしても今年は喪中はがきを数多くいただいたような気がする。

  •  歳末の買い出しで訪れた近所の量販店に、ケーキが並んでいた。売れ残りなのか、どれも値引きされ、売り場は混み合っている。その中で長い間、思案顔をする親子がいた。手を引く小さな男の子に「ほら、円いケーキだ…

  •  「あなたたちの中で罪を犯したことのない者が、まず石を投げなさい」。イエス・キリストの誕生を祝うクリスマスの25日、こんなイエスの言葉が頭をよぎった。後援会の政治資金収支報告書の不記載問題をめぐり、国…

  •  平成10年に75歳で亡くなった宇野宗佑元首相といえば、まず就任3日後に発覚した女性スキャンダルのイメージが強い。わずか69日間の短命首相でもあった。昨日の新聞を読んで、大切な事実を思い出した。

  •  昭和20年の暮れだった。連合国軍総司令部(GHQ)の通訳として東京に赴任していた日系2世のジョージ・アリヨシさんは、7歳の靴みがきの少年と知り合う。寒風が吹きすさぶなか、背筋を伸ばして懸命に働いてい…

  •  「性格的に自分は政治家に向いていない」。平成12年6月、愛知8区選出の自民党衆院議員だった久野統一郎さんは、地元の会合で突然、引退を表明する。

  •  昨日は二十四節気の冬至だった。「冬至の節はわたしのもっとも好きな日である」。作家の永井荷風は、大正10年12月に発表した随筆に書いている。

  •  男女問わず格闘技ファンは意外に多い。勝つか負けるか、自分の日常と違う一瞬に畏敬を抱き歓声を送る。そうした苛酷(かこく)な世界の舞台裏を取材してきた先輩、同僚の本が相次いで刊行されたので一気に読んだ。

  •  占星術が世の中を動かすことは珍しくない。寛和2(986)年夏である。

  •  「天下を治むるは、必ず人情に因(よ)る」。中国・戦国時代の法家思想の大成者、韓非子は述べ、民心の大切さを訴えた。やはり法家に連なる管子(かんし)も「政(まつりごと)の興る所は、民の心に従うに在り」と…

  •  いつごろから日本で広まった風習だろう。カメラを向けられると、人さし指と中指をたてるポーズをとる。「ピースサイン」である。

  •  「検察改革」を悲願とする韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は当初、日本の地検特捜部を念頭に置いていたようだ。「東京地検特捜部は政治権力の目をいっさい気にしない。政治的中立を徹底的に維持し…輝かしい…

  •  「楽聖」ベートーベンの「第九」がなぜ、年の瀬の風物詩といわれるほど盛んに演奏されるようになったのか。理由は諸説あってはっきりしない。とにかく満席が見込めるから、楽団にとって「正月の餅代稼ぎ」として欠…

  •  英国の作家、サマセット・モームとグレアム・グリーン、そして昨日訃報が届いたジョン・ル・カレさん(89)の共通点は、英国秘密情報部(MI6)出身という経歴である。ル・カレさんは1963年にスパイ小説の…

  •  〈両隣へ届け畳をむちうち〉と江戸川柳にある。いまから埃(ほこり)を立てます。ひとつよろしく。当時は隣近所に断ってから煤(すす)払い、つまり大掃除にかかるのが常識とされていた(『はじめての江戸川柳』平…

  •  「自衛隊は便利屋ではない」。陸上自衛隊出身の佐藤正久元外務副大臣が、自身のツイッターに記した言葉は重い。新型コロナウイルスの感染拡大で地域の医療現場が悲鳴を上げる中で、自衛官(看護官)による医療支援…

  •  「戦時下の女性への暴力に反対する芸術作品」。ベルリン中心部のミッテ区に設置された慰安婦像は、もともとこんな触れ込みで申請がなされていた。ところが完成してみると、やはり日本を貶(おとし)めるのが目的だ…

  •  昨日の小紙1面の「朝晴れエッセー」は多くの読者にとって、わが意を得たり、だったのではないか。作者がかつて旅行中に紛失した携帯電話を、JRの女性駅員はいやな顔ひとつせずごみをかき分けて探してくれた。

  •  90歳の天寿を全うした物理学者の有馬朗人(あきと)さんは尊敬する人物として、寺田寅彦を挙げていた。有馬さんは孫弟子にもあたる。俳人でもあった有馬さんは「珈琲の渦を見てゐる寅彦忌」という句も詠んでいる…

  •  「パパはビートルズだったの?」。ジョン・レノンさんの5歳の息子、ショーン君が映画「イエロー・サブマリン」を見て発した一言がきっかけだった。ビートルズ解散からすでに10年がたっている。

  •  浦島太郎の伝説は、全国各地に残っている。愛知県武豊町もその一つ。竜宮神社や浦島橋など“遺跡”も多い。なかでも町の自慢は、太郎が竜宮城から持ち帰って地元の知里付(ちりゅう)神社に献納したとされる玉手箱…

  •  ガソリンという言葉には何かと助けられる。明日への英気を養うときの「ガソリンを入れる」(酒を飲んで元気をつける)。気力、体力が衰えたときの「ガス欠」。温暖化に手を貸すようで気が差すものの、文筆稼業には…

  •  「世界中が仏滅と天中殺に落とし込まれたような年」とは、山口恵以子さんの人気小説『婚活食堂4』に出てくる表現だが、その通り今年は暗かった。中国・武漢発の新型コロナウイルス感染症の大流行で、景気は落ち込…

  •  韓国の食べ物としてまず思い浮かぶキムチの英語表記は、「KIMCHI」である。もともと日本製のキムチが「KIMUCHI」として海外進出を果たしていた。本場・韓国がクレームをつけ、国際食品規格委員会(C…

  •  外務省研修所の玄関を入ると2つの銅像がある。一人は明治の名外交官、陸奥宗光である。もう一人のヘンリー・デニソンを知る人は少ないだろう。米国の外交官から外務省に移り、34年にわたって日本外交を支えた。

  •  『吾輩(わがはい)は猫である』の猫の主人、珍野苦沙弥は痘痕(あばた)面だった。「主人は折々細君に向って疱瘡(ほうそう)をせぬうちは玉のような男子であったといっている」。あばたにコンプレックスを持つ苦…

  •  <二人が睦(むつ)まじくいるためには 愚かでいるほうがいい 立派すぎないほうがいい…>。吉野弘さんの「祝婚歌」は、数えきれないほどの結婚式で読み上げられてきた。もともと自分のめいのために書いた詩だっ…

  •  仕事が手につかない、というのはいつものことだが、小欄を書くのをほっぽり出して東京競馬場に駆け出したくなった。幸か不幸かコロナ禍で入場者は抽選で約4600人に制限され、行きたくても行けなかったのだが。

  •  作者不詳の戯(ざ)れ歌をひとつ。〈春つばき夏はゑのきに秋ひさぎ/冬はひらぎに同(おなじく)はきり〉。何のことかさっぱり、という方はそれぞれの字に「木」を添えていただくと読みやすい。椿(つばき)、榎(…

  •  抄子は約7カ月前、中国外交を老獪(ろうかい)だのしたたかだのと評価する風潮に疑問を呈したが、この際もっとはっきり言おう。中国は外交下手である。24、25両日に来日して菅義偉首相や茂木敏充外相らと会談…

  •  抄子は約7カ月前、中国外交を老獪だのしたたかだのと評価する風潮に疑問を呈したが、この際もっとはっきり言おう。中国は外交下手である。24、25両日に来日して菅義偉首相や茂木敏充外相らと会談した王毅(お…

  •  サッカーに戦争を持ち込んではならない。ただし、1986年ワールドカップ(W杯)の準々決勝、アルゼンチンとイングランドの対戦には、避けられない事情があった。

  •  昭和59年夏の甲子園の大本命は、PL学園(大阪)だった。桑田真澄と清原和博の「KKコンビ」が投打の中心となり、前年夏に優勝、春の選抜でも準優勝していた。その大本命を決勝で破り、茨城県に初めて優勝旗を…

  •  作家の出久根達郎さんは50年前、東京・下町の古書店の店員をしていた。11月25日の昼頃、古書市場に出かけている主人から、電話で指示を受けた。「三島由紀夫の著書をまとめておけ」。三島の自決で世の中が騒…

  •  昭和を代表する作曲家、古関裕而(こせき・ゆうじ)をモデルにしたNHK連続テレビ小説「エール」がまもなく最終回を迎える。先週、主人公の妻の音が、一人娘の華にお見合いを勧めるシーンがあった。

  •  今月8日に行われたミャンマーの総選挙は、アウン・サン・スー・チー国家顧問が率いる与党・国民民主連盟(NLD)の圧勝となった。もっとも、スー・チー氏は国際社会からの厳しい批判にさらされている。イスラム…

  •  春の味覚であるハマグリが、このところ九十九里浜に打ち上げられている。大粒の二枚貝がごろごろした晩秋らしからぬ光景は、一説によると海水温の変化が原因だという。虫の知らせと受け止め、肌に粟(あわ)立つも…

  •  お笑いタレント、劇団ひとりならぬ「政党ひとり」というところか。所属国会議員4人のうち、福島瑞穂党首を除く3人が離党する見通しとなった社民党のことである。「党が分かれて小さくなることは残念でならない」…

  •  昨日発売された「新解さん」こと『新明解国語辞典』(三省堂)の第8版で、「忘年」を引いてみた。「年末に仲間の人が集まって、その年最後の談笑・飲食の機会をもつこと」とある。コロナ禍のせいで、今年は仲間と…

  •  英和辞典でジャパンと引くと、漆あるいは漆器と出る。16世紀後半、ヨーロッパに日本の漆器が伝えられると、人々はその美しさに驚嘆した。中国が「磁器(チャイナ)の国」であるように、日本も「漆器の国」と呼ば…

  •  海外旅行に飽き足らなくなった日本人の間で、月旅行のブームが始まっていた。筒井康隆さんの短編小説『農協月へ行く』は、こんな設定である。

  •  喫茶店で向かい合って座っていると、不意に「あなたがだんだん遠くなる」と言って、そのまま気を失ってしまうことが何度もあった。没後10年になる歌人の河野(かわの)裕子さんの女子大生時代のエピソードである…

  •  上方歌舞伎の再興に尽くし88歳で亡くなった人間国宝、坂田藤十郎さんは、子供の頃、「実は歌舞伎にあまり興味がなかった」と意外なエピソードを明かしている。平成25年の新歌舞伎座(東京)開場に際し、本紙「…

  •  時の権力者を匿名の文書で当てこする文化は、昔からあった。風刺の効いた狂歌などを詠み、道に落としておく。これを「落書(らくしょ)」と呼んだ。寛政の改革で知られる松平定信は、落書でおもちゃにされた一人で…