産経抄産経抄 記事一覧会員向け記事

  •  安倍晋三首相が発令した緊急事態宣言に、海外のメディアは手厳しい。フランス紙フィガロは「現実には見せかけだけ」と決めつける。ロンドンに本社を置くロイター通信は「遅すぎる」と評した。

  •  昭和62年に73歳で亡くなった作家の富士正晴は、「竹林の隠者」と呼ばれていた。大阪府茨木市の小高い丘陵にある竹林の中に住み、ほとんどそこから出ることはなかった。近くのたばこ店に1、2度行ったきりとい…

  •  落語家の林家こん平さんの体に異変が起きたのは、人気番組「笑点」の生放送の直前だった。目まいがしてろれつが回らない。出演をなんとか終えて緊急入院した。

  •  日本の田舎暮らしにあこがれていたC・W・ニコルさんが、長野県信濃町に移住したのは昭和55年である。やがてバブル経済が始まった。天然林が次々に伐採され、産業廃棄物の不法投棄も横行するようになる。

  •  愛情や友情は数の世界にも成り立つらしい。例えば220という数である。

  •  新型コロナウイルスの感染者が、世界全体で100万人を超えた。死者も5万人以上に上るが、収束・終息の見通しは立たない。われわれは今、間違いなく歴史に残る災禍のただ中にいる。にもかかわらず国会の危機意識…

  •  日本人が外出時にマスクをするようになったのは、1910年代に世界中で猛威をふるったスペイン風邪がきっかけである。政府が予防のために着用を呼び掛けたからだ。実は欧米でも奨励されていた。

  •  よりによってこんな時に、と思わないでもない。全世界で急拡大が続く新型コロナウイルスだけでも手いっぱいだというのに、富士山の心配まで加わるとは。政府の中央防災会議作業部会が、先月末に公表した報告書のこ…

  •  新型コロナウイルスの感染者数増加の勢いが、世界中で止まらない。そのなかで、発生源の中国と海を隔てて向かい合っている台湾が、なんとか抑え込みに成功している。その台湾がなぜ、世界保健機関(WHO)に加盟…

  •  お笑いのプロフェッショナルは、実生活では寡黙な人が多い。平成元年にインタビューした志村けんさんも、例外ではなかった。

  •  長い夜を抜けると雪国であった。朝の底が白くなった。本当は、拙宅のある多摩地方で雪が積もりだしたのは夜が明けてからだいぶ経(た)ってのことだが、文豪の名文を拝借したくなるほどの降りっぷりであった。

  •  将棋の実力制第四代名人の升田幸三が、十四世名人の木村義雄と指した。一手の緩みで窮地に立った升田は、盤面でなく木村の息遣いに目を凝らしたという。「息を吐こうとした瞬間に、バシッと駒を打つ。すると木村さ…

  •  新型コロナウイルス克服後の世界情勢は、これまでとは一変していることだろう。「中国のメッキがはがれたのは大きい。しかも被害は、自分たちにも及ぶのだと欧州諸国も理解した」。外務省幹部が指摘するように、中…

  •  国内の労働者の3分の1が失業していた。F・ルーズベルトはそんな大恐慌の最中、米国の大統領に就任した。最初の仕事は、全国の銀行の「休業宣言」である。「友人のみなさん」。1週間後、大統領はラジオを通して…

  •  何度も書いてきたことだが、「従軍慰安婦」は戦後の造語である。慰安婦が従軍記者のように、直接軍の管理下にあったかのような誤解を与えてきた。このいかがわしい呼称が、中学校の歴史教科書で使われるようになっ…

  •  東京都世田谷区にある「駒沢オリンピック公園」は、昭和39(1964)年の東京五輪の第2会場の跡地にできた。「東洋の魔女」と呼ばれたバレーボール女子日本代表チームが、金メダルを獲得した舞台でもある。

  •  男女間の性の深淵を描き続けた作家、吉行淳之介さんの全集(新潮社)の最終巻に、人生のパートナーだった女優の宮城まり子さんに送った13通の手紙が収録されている。書かれたのは、昭和34年11月から翌年1月…

  •  新型コロナウイルスの発生地となった中国湖北省武漢市にある武漢大学は、桜の名所として知られる。キャンパス内の約千本の桜は、もともと1930年代に武漢を占領した旧日本軍により持ち込まれたのが始まりだ。

  •  人が3人寄れば社会が生まれ、人の口が3つ寄れば評判が立つ。「品」という字はよくできている。「しな」と読んでいろいろな物を、「ひん」と読んで物の等級や人柄を表す。物の値打ちも人柄の尊卑も決めるのは他人…

  •  政府は皇位継承順位1位の秋篠宮さまが、自らの立皇嗣(りっこうし)を国の内外に宣明される「立皇嗣の礼」の招待者を減らし、賓客と食事をともにする「宮中饗宴(きょうえん)の儀」は中止することを決めた。肺炎…

  •  地下鉄日比谷線で爆発事故があり、けが人が多数いるらしい。25年前の朝、東京消防庁から聖路加国際病院に入った最初の一報である。まもなく目の痛みや吐き気を訴える患者が、後から後から押し寄せてくる。

  •  黒を白と言いくるめる中国政府の論法に、国際社会は何度も悩まされてきた。さすがにこれは、無理筋というものだ。中国外務省の報道官は先週、新型コロナウイルスについて、「米軍が武漢市に持ち込んだかもしれない…

  •  関西電力の初代社長、太田垣士郎の名を高からしめたのは、黒部川第4発電所、通称黒四の建設である。戦後の関西の電力不足を解決する切り札となった。

  •  「障害者は死んだ方がいい」「ナチス・ドイツの考え方と同じだ」。相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で、職員だった植松聖被告は同僚とこんな会話をかわしたという。植松被告が入所者の男女19人を刺…

  •  ものの数え方はおもしろい。同じ花でも、花びらは「片(へん)」という単位を使って一片、二片と数え、花が開けばおなじみの「輪(りん)」と数える。〈梅一輪一りんほどのあたゝかさ〉。芭蕉門下の人、服部嵐雪の…

  •  路上や書店など至るところで、人々が新型コロナウイルスについてささやき合うのを耳にする。同僚からは「先週末、久しぶりにカミュの『ペスト』を読み返した」と聞いた。中世欧州で人口の3分の1以上の命を奪った…

  •  甲子園の土を最初に持ち帰ったのは誰か。その一人とされるのは、プロ野球巨人の監督として9連覇を成し遂げた川上哲治さんである。昭和12年夏の大会の決勝で敗れた熊本工業のエースだった。グラウンドの土を靴下…

  •  舞台には田舎道に木が一本立っているだけ。2人の浮浪者がゴドーという人物をひたすら待っている。ゴドーの正体は最後まで明かされない。

  •  「『ごめんね』っていうと 『ごめんね』っていう。」東日本大震災をきっかけにして、童謡詩人、金子みすゞの作品のファンになった人も少なくないだろう。9年前の発生直後から、多くの企業がテレビのCMを取りや…

  •  感染の拡大が続く新型コロナウイルスとよく比較されるのは、2002年に中国・広東省で発生し、全世界で700人以上の死者を出した重症急性呼吸器症候群(SARS)である。中国当局による情報隠蔽(いんぺい)…

  •  NHKは嫌いだが、相撲は大好きという身勝手な先輩、同僚が多く、場所中の平日は夕方になるとテレビ前に人が増える。新型コロナウイルス感染防止のため、異例の無観客開催となった大阪・春場所初日の日曜、「テレ…

  •  俗に〈虎の口より人の口恐ろし〉という。こと為政者にとっては、根も葉もない噂であれ、世の中に立つ悪評の市ほど怖いものはない。国の体制によっては「情報」として伝播(でんぱ)する事実でさえ、深刻な脅威にな…

  •  「みんなで力を合わせ、この危機を乗り越えようと論説で書いたところはありますか」。ジャーナリストの櫻井よしこさんは4日のBSフジ番組で、新型コロナウイルス報道の在り方に疑問を投げかけた。全国の小中高校…

  •  バーニー・サンダース米上院議員(78)が、1997年に出した自伝の題名は、『アメリカ下院のはぐれ者(アウトサイダー)』である。81年に行われた東部バーモント州の最大都市バーリントンの市長選が、政治家…

  •  東日本大震災の発生から数日たったころの出来事である。脚本家の内館牧子さんが地震関連のテレビ番組を見ていると、ある高校生のエピソードが紹介されていた。

  •  中東レバノンに逃亡中のカルロス・ゴーン被告が、日産自動車の再建に社長として取り組んでいた時、よく引き合いに出されたのが、米ゼネラル・エレクトリック(GE)のジャック・ウェルチ会長である。人員と部品の…

  •  江戸時代に天下無敵の強さを誇ったのが、二代目谷風梶之助である。通算成績258勝14敗、63連勝も記録している。「わしを土俵で倒すのは無理だから、風邪を引いたときに来い」と豪語したといわれる。ところが…

  •  マスクがいまだに手に入らない。仕事柄テレワーク(在宅勤務)というわけにもいかない。新型コロナウイルスに感染していなくても、通勤電車でせきやくしゃみが出てくることがある。エチケット通りに袖に口を当てて…

  •  汗と涙は、同じ塩の味がする。人が天から授かった味覚の中でも、この苦みほど大事な味はないと思うときがある。〈多くの多くのなやみのあとで、一つ地図がこころに残る/こころに残る私の地図よ、涙の塩の白い地図…

  •  政治家、なかんずくリーダーである首相に求められる第一の資質とは何か。複雑な利害やしがらみが絡み合い、白黒つけ難い問題を果断に処理する決断力だろう。竹下登元首相は就任が決まった際、周囲に漏らした。「5…

  •  斎藤茂吉は生涯で1万7千余の歌を残した。晩年の作品のなかには、思わず噴き出してしまうものも多い。<濃厚の関係にある面相に熱海の道をつれだち歩む>。たとえば戦後まもなく熱海で静養していた折に詠んだ、一…

  •  91歳で亡くなったエジプトの元大統領、ホスニ・ムバラク氏の姿を身近に見る機会が一度だけあった。1997年11月、南部ルクソールの観光地、ハトシェプスト女王葬祭殿で取材中のことだ。イスラム過激派の武装…

  •  「衛生」は、「新聞」や「生活」などとともに、明治時代から使われるようになった。明治8(1875)年に、国民の健康維持をつかさどる部局が内務省に設置される。初代局長となった長与専斎が世に出した。

  •  仁徳天皇も龍馬も泣いている。笑うのは中国か。「新しい歴史教科書をつくる会」が推進する中学校教科書(自由社)が文部科学省の検定で不合格となったことを同会が明らかにした。「生徒に理解しがたい」「誤解する…

  •  比較文化研究者、芳賀徹(はが・とおる)さんの代表作の一つ『絵画の領分』のきっかけとなったのは、恩師の一言だった。旧制高校以来師事する、ドイツ文学者の竹山道雄さんを囲む研究会が、昭和36年の夏、鎌倉で…

  •  相撲興行の起こりは室町時代との説がある。当時は「勧進相撲」と銘打っていた。神社や寺を建てるために寄付を募る、との名目である。これが江戸期になると、幕府から度々禁じられた。浪人が力士に加わり、けんか沙…

  •  小学校の低学年の頃、テレビの西部劇映画で、どう見ても外国人である登場人物たちが流暢(りゅうちょう)な日本語を話すのに感心したのを覚えている。恥ずかしい話だが「吹き替え」を知らず、日本語は世界で通用す…

  •  アガサ・クリスティの『ナイルに死す』をはじめクルーズ船を舞台にしたミステリー作品は数多い。「巨大な密室」が、作家たちの創作意欲を刺激するのだろう。

  •  5年生になってぼくはいじめられるようになり、未来のことだけを考えることにした。1年ごとの自分の目標を手紙に書き、その通りに生きていこうと決めた。

  •  20世紀初頭のニューヨーク。「あやしい余所(よそ)者が来た。冷たくて、人の目に見えず、医者には『肺炎』という名前を付けられる」。画家志望の若い女性が餌食となって、寝たきりとなる。

  •  明治中期から昭和にかけて東京市長などを歴任した後藤新平はもともと医師だった。政治家に転じるきっかけとなったのが、日清戦争である。

  •  きのうの本紙連載漫画「ひなちゃんの日常」ではかわいい主人公が、ちょきちょき、新聞を切り抜いていてうれしくなった。さらに、そこには「憲法改正」の文字が。ひなちゃんのパパならずとも抄子もどう展開するのか…

  •  紅灯の華やかな街で、酔漢同士の取っ組み合いを見たことがある。片方がもう一方の上になり、何かを相手の鼻面に投げつけた。自分の名刺らしい。律義なことに、社名と役職まで名乗ったご仁はさらに畳みかけた。「お…

  •  謝るべきなのは、立憲民主党の辻元清美幹事長代行の方ではないか。安倍晋三首相が12日の衆院予算委員会で辻元氏にヤジを飛ばしたことを口実に、13日の同委を流会させたのは筋が通らない。抄子が天邪鬼(あまの…

  •  若き日の野口英世がペスト菌の横浜上陸を阻止したエピソードを先週紹介した。野口の恩師である北里柴三郎は1894(明治27)年、最初にペストが大流行した香港に赴いて調査研究を行っている。

  •  日本人が外国映画を日本語の字幕で楽しむようになったのは、昭和6年に公開されたマレーネ・ディートリヒの『モロッコ』からである。現在では日本で公開される年間数百本の外国映画は、ほとんどすべて日本語字幕付…

  •  プロ野球界で、野村克也さんほど著書の多い人物はいない。ジャンルは大きく2つに分かれる。1つはもちろん、長い野球人生の経験を生かした本である。スター選手たちのエピソードから、組織論や人生論、今年のNH…

  •  韓国には、「建国記念日」がいくつもある。まず日本統治から解放された1945年8月15日を記念した光復節は、祝日となっている。「光復」は主権を取り戻すという意味だ。

  •  土俵上の力士にとって、独り相撲ほど悲しいものはない。的をめがけて頭からぶつかったはずが、相手にかわされもう止まれない。体は前にのめり、焼けた鉄板の上を渡るように、たたらを踏む場面をよく見かける。

  •  「痛恨の極みだ」。安倍晋三首相は6日、拉致被害者の有本恵子さんの母、嘉代子さんの訃報にこう悼んだ。父の晋太郎元外相の秘書官時代から、嘉代子さんと夫の明弘さんの訴えに耳を傾け拉致問題に取り組んできただ…

  •  ペストといえば、かつてヨーロッパの人口の3分の1に当たる死者を出した恐ろしい病気である。19世紀末にも、香港での大流行をきっかけにして世界に広がった。

  •  明治の美術界の先覚者、岡倉天心は日露戦争の最中、米国に滞在していた。羽織はかま姿で、街を歩いていると、現地の若者が無遠慮に話しかけてきた。

  •  令和元年の出生数は86万4千人で、過去最少を更新した。推計より2年も早く90万人割れとなる衝撃的な数字である。やはり東京オリンピックを翌年にひかえた昭和38(1963)年は、どうだったか。

  •  ドイツ文学者の池内紀(おさむ)さんが、『藤沢周平と豊島園』と題したエッセーを書いている。東京西部の練馬区にある遊園地「としまえん」近くの住宅街を訪ねると、生け垣がめぐらせてあった。その木は、ヒイラギ…

  •  先月29日夜、ブリュッセルの欧州議会に響き渡る歌声のメロディーは、日本人にはなじみ深いものだった。英国北部スコットランドの詩人、ロバート・バーンズが作詞した民謡の「オールド・ラング・サイン」である。

  •  空襲で焼け出された作家の内田百●(ひゃっけん)は戦後、東京の麹町に土地を買った。庭に池をこしらえ、母屋とは別に広さ3畳の離れも建てている。余人がよほど疎ましかったらしい。訪客お断りの歌を詠んで門柱に…

  •  何かと後手に回るのは、戦後日本の宿痾(しゅくあ)である。自民党政務調査会嘱託の田村重信氏の新著『ここが変だよ日本国憲法!』を読み、改めて得心した。田村氏は説く。「いままでの危機管理に関する法律は、実…

  •  医師は手術や診療の前に必ず手を消毒する。この当たり前の処置を最初に提唱したのが、ハンガリーの産科医、イグナーツ・ゼンメルワイスである。19世紀半ばのことだ。当時勤務していたオーストリア・ウィーンの総…

  •  半地下に暮らす全員が失業中のキム一家と、高台の豪邸に住むIT企業社長のパク一家。今話題の韓国映画『パラサイト』は、格差社会をグロテスクに描き出す。善良なパク家は、貧しい人たちの生活に無関心だった。そ…

  •  米プロバスケットボール(NBA)のスーパースター、コービー・ブライアントさんの名前の由来は、よく知られている。元NBAの選手だった父親が、米国内の和風ステーキ店で食べた神戸牛(KOBE BEEF)か…

  •  俳優の加藤雅也さんは、出身地の奈良市の観光特別大使を務めている。日曜日午前中のバラエティー番組に出演して、関西弁で面白おかしく奈良の魅力を語っていた。

  •  給料日の金曜夜、新橋で一杯引っかけ、ちょっと気が大きくなってタクシーに乗った。しばらくして真っ赤っ赤な東京タワーが目に飛び込んできた。あれ!? 酔っ払い過ぎてどこかの国に占領された近未来のTOKYO…

  •  戦場で極限状態に置かれた兵士が取る行動は、砲弾が地面に開けて間もない穴に身を隠すことという。

  •  日韓関係は今、戦後最悪の状態だといわれる。「日韓関係を早く元に戻す必要がある。そのために最大の努力をする」。こう述べる自民党の二階俊博幹事長は今夏、1000人規模の訪韓団を組織する考えだというが、な…

  •  中欧の国チェコの首都プラハは、千年の歴史を持つ古都である。第一次、第二次世界大戦の被害を免れて、古い建築物が多数残り、「ヨーロッパの建築博物館の街」と呼ばれてきた。2年前からこの美しい街の市長である…

  •  ナチスの迫害から逃れて日本にやってきたドイツの建築家、ブルーノ・タウトが秋田県横手市を訪れたのは、昭和11(1936)年の冬だった。真っ白な雪を積み上げたかまくらが立ち並ぶ、幻想的な風景にタウトは魅…

  •  <寒き雨まれまれに降りはやりかぜ衰へぬ長崎の年暮れむとす>。大正8(1919)年、長崎医学専門学校の教授を務めていた斎藤茂吉が詠んだ歌である。

  •  ドイツの文豪ゲーテの小説『若きウェルテルの悩み』は、自らの失恋体験が基になっている。青年ウェルテルは、美しいシャルロッテに恋をするが、彼女は別の男性と結婚する。ウェルテルは自殺する。

  •  4年後から使われる一万円札には、実業家の渋沢栄一の肖像画が採用される。実は昭和38年から61年まで発行された千円札の肖像画を選考する際も、最終候補に残っていた。初代総理大臣の伊藤博文に決まった理由は…

  •  反米の革命政府を九州に打ち立て、日本から独立させる。朝鮮戦争が起こった1950年当時、日本の共産主義者は南進する北朝鮮軍と呼応して、九州の「赤化」を狙っていた(谷口智彦著『日本人のための現代史講義』…

  •  「朋(とも)有り遠方より来る」。亦(また)楽しからずやと続くよく知られた論語の言葉である。とはいえ、これを日本語でツイッターに書き込んだのが11日に再選を果たしたばかりの台湾の蔡英文(さい・えいぶん…

  •  「危機管理」という言葉が、広く認識されるきっかけとなったのは、25年前の今日発生した阪神大震災と直後の地下鉄サリン事件といわれている。震災の当日、貝原俊民・兵庫県知事の登庁は、大幅に遅れた。

  •  米大リーグ、カブスのダルビッシュ有投手にとって、2017年のワールドシリーズの記憶は、悪夢としかいいようがないだろう。当時、ドジャースに所属していたダルビッシュ投手は、アストロズとの第3戦に先発し、…

  •  ドラえもんのひみつ道具の一つに「サイオー馬(ば)」がある。「ろくでもない目にばかりあうのもういやだ」。ドラえもんは、泣きついてきたのび太のために、ポケットから馬のロボットを取り出す。「悪いことやいい…

  •  当初は、整備ミスが原因との見方もあった。1987年11月に大韓航空機がミャンマー近海で爆破された事件である。全員死亡した乗客の大半は、中東での出稼ぎから帰る途中の韓国人労働者だった。

  •  人前で話すのはからきし苦手だが、講演慣れした同僚によると、壇上に立って自分の意見を聞いてもらうのは、とても気持ちのいいものらしい。新聞記者は書くのが仕事だが、なぜか話す方がおもしろい人もいる。秘訣(…

  •  オーストラリアのアボリジニには、ユーカリの森や草原に火を放つ営みがある。「ブッシュファイア」という。落ち葉や下草を焼いた跡は新芽の育ちが促され、動物の餌場となる。そこに寄ってきた獲物を狩り、胃袋に収…

  •  論理が見事に逆立ちしている。立憲民主、国民民主、共産など主要野党は、情報収集強化を目的とする海上自衛隊の護衛艦と哨戒機の中東派遣に反対しているが、その理由を聞いてあぜんとした。米国とイランの軍事的な…

  •  エリザベス英女王は、ラテン語の「アナス・ホリビリス(ひどい年)」という言葉で、1992年を振り返った。この年、週末を過ごすウィンザー城が火災に見舞われ、チャールズ皇太子とダイアナ妃の別居が明らかにな…

  •  イランでは、被害者の視力を奪ったとして有罪判決を受けた犯人に対し、両目を失明させる刑が執行されることがある。「目には目を、歯には歯を」。古代メソポタミアの『ハムラビ法典』に書いてあると、世界史の授業…

  •  江戸時代、幕府は全国53カ所に関所を設けていた。とりわけ取り調べが厳しかったのが、箱根関所である。もっとも抜け穴はあったようだ。歴史家の金森敦子さんによると、「江戸の庶民はドキドキハラハラしながら、…

  •  安保闘争の最中、東京の銀座通りで見た光景を加藤日出男さんは忘れることができなかった。デモ行進のかたわらで、氷店の若い配達員がべそをかいていた。氷が溶けかかっているのに、学生たちは道をあけようとしない…

  •  徳川家康は、『源氏物語』を愛読していた。大坂夏の陣前後には、公家から講義も受けている。武断から文治の世への移行を意識していたのだろう。江戸幕府の歴代将軍も、家康の遺志を受け継いできた。

  •  「裸足(はだし)の哲人」と呼ばれたマラソンのアベベ・ビキラ(エチオピア)に、靴にまつわる挿話がある。1960年のローマ五輪を素足で駆け抜け、名声を得た金メダリストは当初、靴を履いて走る予定だったとい…

  •  令和の世になって初めての正月を迎えた。今年は東京五輪・パラリンピックの開催年でもあり、元日はすがすがしくワクワクした気分で過ごしたかったが、職業柄、少し気が重い恒例行事も避けられない。何のことはない…

  •  犯罪史上に名を刻む悪党である。1963年に英国内で郵便列車が襲撃され、現在の貨幣価値で50億円以上の現金が奪われた。犯人の一人、ロナルド・ビッグズは34歳だった。

  •  明けましておめでとうございます。届いたばかりの年賀状には、ネズミの絵柄が目立つはずだ。十二支の最初に据えられたネズミと日本人との関わりは深い。『古事記』にも登場する。須佐之男命(すさのおのみこと)に…

  •  作家の幸田文に、「些細なつらぬき」と題した随筆作品がある。他人から見れば、とるに足らないことでもいい。一生かけて守り続ければ、自分にとって大きな力になる、と説いている。

  •  56年前のNHK紅白歌合戦は、有楽町の東京宝塚劇場で行われた。今、紅白をやっているNHKホールどころか放送センターも影も形もなく、代々木はワシントンハイツと呼ばれた米軍人と家族が住む「租界地」だった…

  •  年の瀬に知った顔と会えば、たいてい休みの話になる。芸能界もそうらしい。「お休みは?」「暦通りです」。どこかのスタジオで交わされた会話に、人気ファッションモデルの女性が首を傾(かし)げた。「暦通りって…

  •  「これからも初心を忘れずに、しっかりとやっていきたい」。安倍晋三首相は政権復帰を果たし、第2次安倍内閣を発足させて丸7年を迎えた26日、首相官邸で記者団に抱負を語った。残る1年9カ月の任期中の仕事に…

  •  米ボストン美術館が所蔵する名品のひとつに、平安後期の絵巻物「吉備大臣入唐絵巻」がある。主人公は、奈良時代の遣唐使の一人だった吉備真備(きびの・まきび)である。

  •  文献に残っている限り、日本で最初に収賄の疑いをかけられた政治家は、大伴金村という人物である。『日本書紀』に「大伴大連(おおむらじ)…百済(くだら)の賄(まいない)を受けたり」という記述がある。6世紀…

  •  「中国共産党政権の迫害を受けている数千人は、永遠にあなたに感謝いたします」。米オレゴン州に住む主婦は2012年10月、ハロウィーンのために購入した中国製の飾り物の中から手紙を見つけた。差出人は、遼寧…

  •  プロ野球のスター選手の「凄(すご)み」を誰よりも理解しているのは、審判だろう。元セントラル・リーグ審判の篠宮愼一さんは、イチローさんの「ストライクゾーンを審判に合わせて変えられる」特異な能力を指摘す…

  •  有馬記念も終わり、今年も残り少なくなってきた。振り返ると、誰もが判断に迷うような課題も多くなっている。馬券の反省ではない。国内外先行き不透明な時代、正解が見えにくい。もし危機に直面し、隣にいた部下が…

  •  何年か前の小紙に「七運汁」と呼ばれる郷土料理の記事が載っていた。ダイコン、ニンジン、レンコンなど「ん」の付く具材を煮込んだ椀(わん)物を食し、翌年の豊作を祈願する。茨城県那珂市の一部に伝わる風習とい…

  •  平成20年6月、日中が東シナ海のガス田共同開発で合意した際のことである。合意は後に有名無実化するものの当初は、先行開発していた中国から譲歩を勝ち取った対中外交では珍しい成果だと評価された。ところが、…

  •  米カリフォルニア州のグレンデール市は、1960年から現在の東大阪市と姉妹都市の関係を結んできた。日本びいきの街に2012年ごろから、韓国系住民が急増する。米国で最初の慰安婦像が建立されたのは、その翌…

  •  競泳女子のエース、池江璃花子選手が血液のがんである白血病の診断を公表したのは、今年の2月だった。「池江ガンバレ!」。日本中から激励の声がわき上がったものだ。同時に治療法の一つである骨髄移植に関心が集…

  •  没後86年を経ても、詩人・童話作家の宮沢賢治の文名は上がるばかりである。昨年、直木賞を受賞した『銀河鉄道の父』は、あえて父親の政次郎(まさじろう)にスポットを当てていた。

  •  江戸時代中期の政治家、田沼意次は、今年生誕300年を迎えた。10代将軍・家治に重用され、幕府の実権を握ると、商業を重視して財政改革に取り組んだ。ただ役人と商人の癒着が目に余り、不正やわいろが横行する…

  •  年賀状にくじを付ける。いわゆる「お年玉はがき」を思いついたのは、大阪で洋品雑貨店を営む林正治(まさじ)という人だった。まだ戦後の混乱が続く昭和24年、肉親や知人の消息を尋ねるラジオ番組が放送されてい…

  •  子供たちはこの世に生を受ける前、「未来の王国」という場所で地上に降りる日を待っているという。順番を差配するのは「時」と呼ばれる番人で、審査に通った子供から地上へ送り出す。おなじみの童話『青い鳥』であ…

  •  世相を表す「今年の漢字」に選ばれた「令」には、「法律」「規範」という意味もある。その法律をつくり、国民の範となるべき立法府の劣化が目立つ。与党に比べマスコミがあまり報じないのに助けられているが、特に…

  •  昨日訃報が届いた俳優の梅宮辰夫さんの代表作といえば、映画の「仁義なき戦い」だろうか。ただ、小欄にとってもっとも印象深いのが、倉本聰さん脚本の名作ドラマ「前略おふくろ様」である。萩原健一さん扮(ふん)…

  •  コンビニエンスストア最大手、セブン-イレブン・ジャパンは、数々のヒット商品を世に送り出してきた。6年前にスタートした「セブンカフェ」もその一つだ。独特なデザインのマシンが、一杯ずつ豆を挽(ひ)きドリ…

  •  故笹川良一さんの悲恋が始まりだった。少年時代に思いを寄せた近所の娘さんが、ある日突然姿を消す。ハンセン病だったと知らされ、そのとき撲滅を誓ったという。

  •  2010年が明けたばかりの頃、ドイツ政府にある取引が持ちかけられた。スイスの銀行に口座を持つドイツ人約1500人分のデータの買い取りである。盗まれた可能性が高く、売値は約3億円だった。

  •  裁判所には、不老不死の魔物が棲(す)んでいるという。<司法はこのモンスターに囚われて多くの被害者遺族を苦しめてきた>。平成19年夏の闇サイト殺人事件を取材した大崎善生さんは、ノンフィクション『いつか…

  •  昨年5月に亡くなった食漫画の巨匠、土山しげるさんの絶筆『勤番グルメ ブシメシ!』の第3巻が3日に刊行され、早速手に取った。2度目の江戸勤務を命じられた紀州和歌山藩の下級武士である主人公、酒井伴四郎の…

  •  アフガニスタン北東部に連なるヒンズークシ山脈は、氷河時代の遺物といわれるアゲハチョウの一種が生息することで知られる。10歳のころから、昆虫に夢中になっていた中村哲さんにとって、一度は訪れてみたい場所…

  •  山梨県大月市の宣伝文句は、「富士の眺めが日本一美しいまち」である。先月末に86歳で亡くなった山岳写真家の白籏(しらはた)史朗さんは、この街で生まれ育った。家庭の事情で高校に進まず、自宅で6人の弟、妹…

  •  「中国の夢」(チャイニーズ・ドリーム)は、習近平国家主席が好んで使う言葉である。2013年3月、就任後初めて行った演説では9回も繰り返した。習氏の語る「中国の夢」とは、かつての超大国への地位回復を意…

  •  昭和33(1958)年に流行語大賞があったら、受賞間違いなしである。作家の小林信彦さんによれば、「ながら族」は、この年に生まれた(『現代〈死語〉ノート』)。

  •  18世紀後半にローマを訪れた文豪ゲーテは、古代ローマ帝国の権威の象徴とされるコロッセオの大きさに圧倒された。「この円形劇場を眺めると、他のものはすべてちっぽけに見える」と『イタリア紀行』に書いている…

  •  海が荒れたとき、船をどう操るか。旧海軍に伝わる操舵(そうだ)の心得がある。「荒天のときは風に向かえ」。

  •  米国のトランプ大統領は27日、香港の自治や市民の自由の検証などを米政府に義務付ける「香港人権民主法案」に署名し、同法は成立した。米国はこれまでも貿易や知的財産権侵害をめぐって中国に圧力を加えてきたが…

  •  電車の中ではほとんどの乗客が、スマートフォンの画面に見入っている。メールの返信、ニュースのチェック、何より目立つのが、ゲームに夢中になっている若者たちである。

  •  日本オリンピック委員会(JOC)会長の山下泰裕氏は今月11日、ロシアのプーチン大統領から「名誉勲章」を授与された。柔道家としても知られるプーチン氏は、ロサンゼルス五輪の金メダリストである山下氏と、長…

  •  1960年の米国大統領選で、リチャード・ニクソン氏と熾烈(しれつ)な争いを繰り広げていたジョン・F・ケネディ氏は、宗教問題に苦しんだ。総人口の8割を占めるキリスト教徒のなかで、ケネディ氏は少数派のカ…

  •  〈町には暗がりがあっただから家の灯が見えた〉(昭和の歌)。作詞家の故阿久悠さんにとって、前回の東京オリンピックが開催される前の昭和30年代は、「最後の楽園の時代」だった。阿久さんによれば、この時代に…

  •  今から四半世紀ほど前のお話である。リクルート事件に東京佐川急便事件と、政治とカネにまつわる不祥事が相次ぎ、有権者から愛想をつかされた自民党は総選挙で敗北。結党以来、初めて下野した。

  •  中国の歴史書などに「忘年之交(ぼうねんのまじわり)」という四字熟語がある。自分が老いたのも忘れ、学識や才能のある若者と付き合う楽しみを表した言葉だという。「その年の苦労を忘れること」を指す「忘年」は…

  •  一年を振り返るにはまだ暦が若いが、つくづく韓国について考えさせられた年だった。積ん読分を含め手元にある今年刊行の関連書籍を見回すと『ありがとう、「反日国家」韓国』(八幡和郎著)『中国・韓国の正体』(…

  •  生命が発生したのは地球ではなく宇宙だった、との説がある。東北大などの研究チームが先日、それを後押しするような成果を発表した。オーストラリアに落下した隕石(いんせき)から、生命に欠かせない糖の分子を見…

  •  ローマ法王が初めて日本を訪れたのは、昭和56(1981)年2月である。皇居でヨハネ・パウロ2世と会見した昭和天皇は、「大変いい思い出になっております」と述べられた。

  •  「玉座(ぎょくざ)を以(もっ)て胸壁(きょうへき)と為(な)し、詔勅(しょうちょく)を以て弾丸に代(か)へて政敵を倒さんとす…」。大正2(1913)年2月、後に「憲政の神様」と称(たた)えられる尾崎…

  •  イエズス会の黒衣をまとった聖者は、心臓に十字架を刺したまま、天を仰ぎ見ている。歴史の教科書でおなじみの「聖フランシスコ・ザビエル像」である。日本に初めてキリスト教を伝えた宣教師がなんと、エクスタシー…

  •  「ロシア人が“バザール商法”の達人であることを肝に銘じなければならない」。14日に亡くなった本紙正論メンバーで北海道大学名誉教授の木村汎(ひろし)氏は、北方領土をめぐる対露交渉などについて巧みなたと…

  •  言葉から受ける印象だけで漢字を当てると間違えやすい。「ごせいちょう」はその代表格だろう。聴衆に対し講演の前にお願いするのは「ご静聴」、講演を終えた人が感謝を述べるのは「ご清聴」に対してである。

  •  「暗いから見えない。電気をつければいいじゃないか」。小泉純一郎首相(当時)は平成17年11月、天皇が神々に新穀をささげ、自身も召し上がり収穫に感謝する祭祀(さいし)、新嘗祭(にいなめさい)に参列した…

  •  人気グループ「嵐」のメンバー、二宮和也さん(36)の結婚は、海外のファンからの反響も大きかった。「嵐」は今月9日、天皇陛下のご即位を祝う「国民祭典」で、奉祝曲を歌い上げたばかりである。

  •  英国のEU離脱は先月末、3度目の延期が決まった。ジョンソン英首相がなぜ、10月31日、すなわちハロウィーンでの離脱にこだわったのか。先日の日経新聞に載っていた、芸術文明史家の鶴岡真弓さんのコラムで合…

  •  初代内閣安全保障室長を務めた故佐々淳行さんは、英国統治下にあった香港の領事として、1967年の暴動のまっただ中にいた。佐々さんによれば、前年に始まった中国の文化大革命が暴動の「父」とすれば、「母」は…

  •  31年前の今日、85歳で亡くなった草野心平は、「蛙(カエル)の詩人」と呼ばれていた。「トテモキレイナ花。イッパイデス。イイニオイ。イッパイ。オモイクライ。オ母サン。ボク。カエリマセン。」(「青イ花」…

  •  旧ソ連の小話がある。「潔白で立派な人間を買うことはできるか」「買えない。売ることはできる」。密告制度を風刺した1961年の作という。「社会主義とは何か」「資本主義に至る最も長い道のりである」。

  •  「まずもって歓迎したい」。菅義偉官房長官は7日の記者会見で同日、衆院憲法審査会の自由討議が平成29年11月以来、約2年ぶりに行われたことを評価した。確かに一歩前進ではあろうが、かくも長きにわたり野党…

  •  昨日の「朝晴れエッセー」は、読んでいるだけで舌がしびれそうになった。盛岡市で飲食業を営む筆者はこの時期、赤唐辛子(とうがらし)のペースト作りに励んでいる。発酵が進むと、瓶のフタを開けたとたんにあふれ…

  •  インド独立の父とされるガンジーの生誕150年を記念する催しが先月2日、インド各地で開かれた。モディ首相は式典で、13億人の国民全員にトイレが整備された、と宣言した。衛生政策を重視したガンジーにあやか…